膵癌早期診断を目指した家族性膵癌登録・サーベイランス研究

家族性膵癌家系とある特定の生殖細胞系列遺伝子の病的バリアント(遺伝性膵癌症候群)は,膵癌発症のリスク因子として知られている.これらの膵癌発症リスクが高い個人に対しては,膵癌早期診断のためのサーベイランスを行うことで早期発見につなげられる可能性があるが,日常診療に浸透しているとは言えない.しかし,膵癌に対する早期発見の医療ニーズが高まっており,日本膵臓学会では,2014年から家族性膵癌登録制度を運用開始し,その付随研究として,「家族性膵癌高危険群のサーベイランス法(エキスパート・コンセンサス)」の報告を行ってきた.また,家族性膵癌家系または遺伝性腫瘍症候群に対する早期膵癌発見を目指したサーベイラ...

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Published in膵臓 Vol. 39; no. 4; pp. 215 - 222
Main Authors 肱岡, 範, 奥坂, 拓志, 森實, 千種
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本膵臓学会 30.08.2024
日本膵臓学会
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.39.215

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Summary:家族性膵癌家系とある特定の生殖細胞系列遺伝子の病的バリアント(遺伝性膵癌症候群)は,膵癌発症のリスク因子として知られている.これらの膵癌発症リスクが高い個人に対しては,膵癌早期診断のためのサーベイランスを行うことで早期発見につなげられる可能性があるが,日常診療に浸透しているとは言えない.しかし,膵癌に対する早期発見の医療ニーズが高まっており,日本膵臓学会では,2014年から家族性膵癌登録制度を運用開始し,その付随研究として,「家族性膵癌高危険群のサーベイランス法(エキスパート・コンセンサス)」の報告を行ってきた.また,家族性膵癌家系または遺伝性腫瘍症候群に対する早期膵癌発見を目指したサーベイランス方法の確立を目的とした前向き研究であるDIAMOND studyも進行中である.これらの取り組みは,膵癌の予後改善に寄与すると考えられる.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.39.215