隙間清掃の容易なフロアワイパーの心理評価

本稿では,床の隙間清掃に対するニーズに応じて開発したフロアワイパーの心理評価の結果を報告する.具体的には,このワイパーによる床清掃が気分および使用感に及ぼす影響を2つの実験で検証した.実験参加者は,日本の一般的な食卓を模した家具による隙間の多い環境で,2種類のフロアワイパーを使った床の清掃課題を行った.一方は隙間清掃に向いたワイパー (容易ワイパー条件),もう一方は隙間清掃に向かない一般的な形状のワイパー(困難ワイパー条件) だった.そして,各回の清掃前後でポジティブ・ネガティブ気分を測った.清掃後には,ワイパーの使用感も測った.その結果,困難ワイパーにくらべ容易ワイパー条件では,清掃後に,ポ...

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Published in人間工学 Vol. 59; no. 1; pp. 19 - 28
Main Authors 眞鍋, 優佳, 宮崎, 由樹, 河原, 純一郎, 釼持, 泰彦, 須田, 朋和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人間工学会 15.02.2023
日本人間工学会
Subjects
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ISSN0549-4974
1884-2844
DOI10.5100/jje.59.19

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Summary:本稿では,床の隙間清掃に対するニーズに応じて開発したフロアワイパーの心理評価の結果を報告する.具体的には,このワイパーによる床清掃が気分および使用感に及ぼす影響を2つの実験で検証した.実験参加者は,日本の一般的な食卓を模した家具による隙間の多い環境で,2種類のフロアワイパーを使った床の清掃課題を行った.一方は隙間清掃に向いたワイパー (容易ワイパー条件),もう一方は隙間清掃に向かない一般的な形状のワイパー(困難ワイパー条件) だった.そして,各回の清掃前後でポジティブ・ネガティブ気分を測った.清掃後には,ワイパーの使用感も測った.その結果,困難ワイパーにくらべ容易ワイパー条件では,清掃後に,ポジティブ気分は増大し,ネガティブ気分は低減した(実験1).隙間箇所が少ない環境では,そうしたポジティブ/ネガティブ気分変動効果は小さくなった (実験2).ワイパーの使用感は,容易ワイパー条件の方が総じて高く評価された.本研究の結果,床清掃環境に適合したワイパーを用いることで清掃後の気分が好転することが示された.これらの結果は,ワイパーの触運動的操作の処理流暢性に由来すると考えられる.
ISSN:0549-4974
1884-2844
DOI:10.5100/jje.59.19