肝門部領域胆管癌の切除とその適応

本邦では切除可能肝門部領域胆管癌の標準的治療は根治手術とS-1補助化学療法となった.切除可能かの判断には腫瘍因子のみならず宿主因子評価が必要で,特に腫瘍進展の読影と安全性への深慮が欠かせない.肝門部領域胆管癌の肝切除では動脈・門脈・胆管の切離線が異なる.手術手順をどのように進め,適切な肝切離面に導くかを予測し丁寧に実行する必要がある.要点を症例動画を提示し解説する.重篤な合併症が多く発生し,術後死亡率も高い傾向にある.ドレナージ排液や動脈・門脈・静脈血流の綿密な観察が合併症の重篤化回避につながる.切除不能胆道癌では近年治療選択肢が増え,これらの治療が長期間奏効した症例ではConversion切...

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Published in胆道 Vol. 39; no. 2; pp. 164 - 172
Main Author 中川, 圭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本胆道学会 31.05.2025
日本胆道学会
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.39.164

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Summary:本邦では切除可能肝門部領域胆管癌の標準的治療は根治手術とS-1補助化学療法となった.切除可能かの判断には腫瘍因子のみならず宿主因子評価が必要で,特に腫瘍進展の読影と安全性への深慮が欠かせない.肝門部領域胆管癌の肝切除では動脈・門脈・胆管の切離線が異なる.手術手順をどのように進め,適切な肝切離面に導くかを予測し丁寧に実行する必要がある.要点を症例動画を提示し解説する.重篤な合併症が多く発生し,術後死亡率も高い傾向にある.ドレナージ排液や動脈・門脈・静脈血流の綿密な観察が合併症の重篤化回避につながる.切除不能胆道癌では近年治療選択肢が増え,これらの治療が長期間奏効した症例ではConversion切除も検討される.ハイボリュームセンターで集積された診断・治療のノウハウを汎用化することが根治性と安全性を両立した肝門部領域胆管癌の切除適応を示すために必要である.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.39.164