腎移植後早期の移植腎動脈解離に対しPTAが奏効した1例

「I. 緒言」 腎移植における血管合併症は1-23%に起こるといわれており1), その中でも移植腎動脈解離の頻度は0.1%程度であると報告されている2). 移植腎動脈解離は移植腎動脈血流を低下させ, グラフトロスへと発展しうる重大な合併症である. 腎移植後早期に発症することが多いとされ3,4), なかには腎血流再開直後に発症する症例も存在する5,6). 今回われわれは, 術直後から遷延する移植腎機能低下の原因が移植腎動脈解離であった症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 「II. 症例」 症例: 45歳女性 主訴:生体腎移植目的 家族歴:特記すべきことなし 既往歴: 40歳時に心房...

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Published in移植 Vol. 48; no. 2-3; pp. 156 - 161
Main Authors 添野, 真嗣, 小山, 一郎, 中島, 一朗, 久保, 隆史, 安藤, 哲郎, 渕之上, 昌平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 10.06.2013
日本移植学会
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.48.156

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Summary:「I. 緒言」 腎移植における血管合併症は1-23%に起こるといわれており1), その中でも移植腎動脈解離の頻度は0.1%程度であると報告されている2). 移植腎動脈解離は移植腎動脈血流を低下させ, グラフトロスへと発展しうる重大な合併症である. 腎移植後早期に発症することが多いとされ3,4), なかには腎血流再開直後に発症する症例も存在する5,6). 今回われわれは, 術直後から遷延する移植腎機能低下の原因が移植腎動脈解離であった症例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 「II. 症例」 症例: 45歳女性 主訴:生体腎移植目的 家族歴:特記すべきことなし 既往歴: 40歳時に心房細動に対してカテーテルアブレーション 現病歴: 30歳で蛋白尿を指摘されていたが, 治療はしていなかった. 37歳時に高血圧とと腎不全を指摘され, 2003年10月に透析導入となった. 以後8年にわたって週3回の維持透析療法を受けてきた.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.48.156