肝硬変患者の周術期における感染制御を目的とした栄養管理

肝細胞癌に対する肝切除症例の多くは慢性肝炎や肝硬変を併存しているため, 特に肝硬変患者では蛋白・エネルギー低栄養状態を特徴とした栄養障害が高頻度にみられる. 肝硬変患者にみられる栄養障害は肝切除術後合併症, 特に感染性合併症の発症と密接に関連していると考えられている. 肝硬変を中心とした肝切除や肝移植症例に対して, 分岐鎖アミノ酸投与や免疫栄養療法を行い, 術後感染性合併症発症率が低下したとの報告が認められる. その機序として, 分岐鎖アミノ酸投与による好中球貪食能の促進作用などによる免疫能改善や, 免疫栄養療法において中心的役割を担うω3系脂肪酸の宿主免疫能の調節作用の可能性が示されている....

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 53; no. 2; pp. 105 - 109
Main Authors 天野, 良亮, 石原, 敦, 大平, 豪, 新川, 寛二, 伊藤, 得路, 久保, 正二, 西岡, 孝芳, 田中, 肖吾, 竹村, 茂一, 山添, 定明, 宮崎, 徹, 木村, 健二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 15.04.2019
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ISSN0389-5564
2187-5154
DOI10.11638/jssmn.53.2_105

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Summary:肝細胞癌に対する肝切除症例の多くは慢性肝炎や肝硬変を併存しているため, 特に肝硬変患者では蛋白・エネルギー低栄養状態を特徴とした栄養障害が高頻度にみられる. 肝硬変患者にみられる栄養障害は肝切除術後合併症, 特に感染性合併症の発症と密接に関連していると考えられている. 肝硬変を中心とした肝切除や肝移植症例に対して, 分岐鎖アミノ酸投与や免疫栄養療法を行い, 術後感染性合併症発症率が低下したとの報告が認められる. その機序として, 分岐鎖アミノ酸投与による好中球貪食能の促進作用などによる免疫能改善や, 免疫栄養療法において中心的役割を担うω3系脂肪酸の宿主免疫能の調節作用の可能性が示されている. しかし, 肝硬変患者における栄養療法などによる術後感染性合併症予防効果に関するエビデンスは十分ではなく, さらなる検討が必要である.
ISSN:0389-5564
2187-5154
DOI:10.11638/jssmn.53.2_105