重度嚥下障害を有する脳性麻痺児に干渉波電気刺激法を併用した摂食機能療法を行い一部経口摂取にいたった一例

脳性麻痺(以下,CP)において流涎や嚥下障害の有病率は半数程度とされ,軽度CP児であっても咽頭期嚥下障害は多くみられるが,CPの摂食嚥下障害に対する介入エビデンスは限られている.上喉頭神経への刺激による嚥下反射惹起を目的とした干渉波電気刺激法(以下,IFC)は,成人においては嚥下反射を改善したとする報告が複数あるが,小児における報告は少なく,持続吸引器を必要とする重度嚥下障害の医療的ケア児についてはさらに限られている.本症例では,嚥下反射惹起不全があり持続吸引下でも唾液の処理が困難であった重度嚥下障害のCP児に対して,初診時年齢0歳6カ月から摂食機能療法を開始し,介入2カ月目(0歳8カ月)から...

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Published in日本障害者歯科学会雑誌 Vol. 44; no. 2; pp. 166 - 172
Main Authors 水上, 美樹, 加藤, 陽子, 菊谷, 武, 田村, 文誉, 高橋, 賢晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本障害者歯科学会 30.06.2023
日本障害者歯科学会
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ISSN0913-1663
2188-9708
DOI10.14958/jjsdh.44.166

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Summary:脳性麻痺(以下,CP)において流涎や嚥下障害の有病率は半数程度とされ,軽度CP児であっても咽頭期嚥下障害は多くみられるが,CPの摂食嚥下障害に対する介入エビデンスは限られている.上喉頭神経への刺激による嚥下反射惹起を目的とした干渉波電気刺激法(以下,IFC)は,成人においては嚥下反射を改善したとする報告が複数あるが,小児における報告は少なく,持続吸引器を必要とする重度嚥下障害の医療的ケア児についてはさらに限られている.本症例では,嚥下反射惹起不全があり持続吸引下でも唾液の処理が困難であった重度嚥下障害のCP児に対して,初診時年齢0歳6カ月から摂食機能療法を開始し,介入2カ月目(0歳8カ月)からIFCを併用して週1回,味覚刺激訓練や直接訓練を行った.その結果,むせに伴うSpO2の低下や流涎が改善し,徐々に持続吸引器からの離脱時間が増加し,介入22カ月目(2歳4カ月)に一部経口摂取が可能なレベルの嚥下機能を獲得するにいたった.本症例を通じて,持続吸引を必要とする重度嚥下障害児において,上喉頭神経を刺激するIFCを併用した摂食機能療法が有用である可能性が示唆された.
ISSN:0913-1663
2188-9708
DOI:10.14958/jjsdh.44.166