多発脳造影病変を呈しトキソプラズマ脳症との鑑別に苦慮した多巣性膠芽腫の1例

症例は57歳男性.日常的に野良猫との接触歴があった.X年6月より左下肢脱力,7月より意識障害を呈し当院に入院した.髄液検査で細胞数増多,頭部造影MRIで脳内に多発造影域を認めた.トキソプラズマ脳症を疑い抗生剤を投与したが,反応に乏しかった.初回脳生検で診断に至らず,組織よりPropionibacterium acnesの検出があり,抗生剤を継続したが症状の悪化と病変の増大がみられた.再生検で膠芽腫と診断され,画像所見と合わせて多巣性膠芽腫と診断した.同病は膠芽腫の稀な病型で,予後不良である.診断に苦慮する多発脳病変では同病も鑑別に挙げ,早期の脳生検を考慮すべきである....

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Published in臨床神経学 Vol. 65; no. 3; pp. 224 - 229
Main Authors 山元, 一樹, 島谷, 佳光, 岩本, 宗矩, 毛利, 菜月, 今井, 幸弘, 石原, 広之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2025
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-002019

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Summary:症例は57歳男性.日常的に野良猫との接触歴があった.X年6月より左下肢脱力,7月より意識障害を呈し当院に入院した.髄液検査で細胞数増多,頭部造影MRIで脳内に多発造影域を認めた.トキソプラズマ脳症を疑い抗生剤を投与したが,反応に乏しかった.初回脳生検で診断に至らず,組織よりPropionibacterium acnesの検出があり,抗生剤を継続したが症状の悪化と病変の増大がみられた.再生検で膠芽腫と診断され,画像所見と合わせて多巣性膠芽腫と診断した.同病は膠芽腫の稀な病型で,予後不良である.診断に苦慮する多発脳病変では同病も鑑別に挙げ,早期の脳生検を考慮すべきである.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-002019