閉塞性血栓血管炎を背景に重症尋常性乾癬が関与した若年性脳梗塞の1例

症例は45歳男性.併存疾患に尋常性乾癬と閉塞性血栓血管炎(thromboangiitis obliterans,以下TAOと略記)がある.突然の呂律の回りにくさ,右上肢の痺れを主訴に救急搬送された.左中大脳動脈閉塞,同血管支配領域の散在性脳梗塞を認めた.機械的血栓回収術を行い,有効再開通を得たが責任血管に狭窄が残存した.原因検索を行い,乾癬とTAOを背景としたアテローム血栓性脳梗塞と診断した.乾癬は肥満症や脂質異常症の増悪因子かつ独立した心血管リスクであるが,本邦では有病率が低く,脳血管障害の報告例は少ない.またTAOも稀ではあるが脳梗塞との関連が指摘されている.これらは治療可能な介入因子とし...

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Published in臨床神経学 Vol. 65; no. 5; pp. 359 - 365
Main Authors 猪原, 匡史, 石山, 浩之, 吉本, 武史, 阿部, 宗一郎, 井上, 学, 稲垣, 泰申
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2025
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-002027

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Summary:症例は45歳男性.併存疾患に尋常性乾癬と閉塞性血栓血管炎(thromboangiitis obliterans,以下TAOと略記)がある.突然の呂律の回りにくさ,右上肢の痺れを主訴に救急搬送された.左中大脳動脈閉塞,同血管支配領域の散在性脳梗塞を認めた.機械的血栓回収術を行い,有効再開通を得たが責任血管に狭窄が残存した.原因検索を行い,乾癬とTAOを背景としたアテローム血栓性脳梗塞と診断した.乾癬は肥満症や脂質異常症の増悪因子かつ独立した心血管リスクであるが,本邦では有病率が低く,脳血管障害の報告例は少ない.またTAOも稀ではあるが脳梗塞との関連が指摘されている.これらは治療可能な介入因子として考えられたため報告する.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-002027