脳内局所酸素飽和度モニタリングを救急現場から開始した院外無脈性電気活動心停止の1例
心肺停止傷病者の救命例は増加傾向にあるが,社会復帰例はごく限られている。われわれは蘇生中の脳循環を評価するために病院前において脳内局所酸素飽和度(regional saturation of oxygen;rSO2)連続測定を開始し,無脈性電気活動(Pulseless Electrical Activity,以下PEA)の認知に有効だと考えられる傷病者を経験したので報告する。症例は80代男性。家人の前で意識消失し,救急隊到着時の心電図はPEAであった。心肺蘇生により心拍再開したが,3分後に頸動脈を触知したところ再度PEA となった。この間の心電図波形はwide QRSで変化はなかった。脳内rS...
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Published in | 日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 19; no. 6; pp. 745 - 747 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床救急医学会
01.12.2016
日本臨床救急医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1345-0581 2187-9001 |
DOI | 10.11240/jsem.19.745 |
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Summary: | 心肺停止傷病者の救命例は増加傾向にあるが,社会復帰例はごく限られている。われわれは蘇生中の脳循環を評価するために病院前において脳内局所酸素飽和度(regional saturation of oxygen;rSO2)連続測定を開始し,無脈性電気活動(Pulseless Electrical Activity,以下PEA)の認知に有効だと考えられる傷病者を経験したので報告する。症例は80代男性。家人の前で意識消失し,救急隊到着時の心電図はPEAであった。心肺蘇生により心拍再開したが,3分後に頸動脈を触知したところ再度PEA となった。この間の心電図波形はwide QRSで変化はなかった。脳内rSO2値は心拍再開確認後すぐに低下していることが判明した。このように,PEAは血圧や脈拍の有無の確認をしなければならないため,心電図モニター波形からだけでは心停止の判断が困難な場合がある。脳内rSO2を連続的に測定することによってPEAの早期認知に有用である可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 1345-0581 2187-9001 |
DOI: | 10.11240/jsem.19.745 |