門脈血栓合併肝硬変例の食道胃静脈瘤治療
門脈血栓合併肝硬変での食道胃静脈瘤の臨床像を検討した.門脈血栓症患者は24例中20例(83%)が肝硬変で,アルコール性,C型肝炎,NASH疑いが多かった.門脈血栓の初期治療としてダナパロイドナトリウムとAT-III製剤の併用が最多で,次いでAT-III製剤単剤,ワーファリン,ヘパリンが多く,経過観察は6例(30%)であった.維持療法は直接経口抗凝固薬(Direct oral anticoagulant:DOAC),ワーファリン,アスピリンが用いられた.門脈血栓治療後の経過として6例(30%)で血栓の改善や消失を認めた.食道・胃静脈瘤所見・治療の検討では,食道静脈瘤はF1が11例(55%),F2...
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 100; no. 1; pp. 45 - 49 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
30.06.2022
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
Subjects | |
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ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
DOI | 10.11641/pde.100.1_45 |
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Summary: | 門脈血栓合併肝硬変での食道胃静脈瘤の臨床像を検討した.門脈血栓症患者は24例中20例(83%)が肝硬変で,アルコール性,C型肝炎,NASH疑いが多かった.門脈血栓の初期治療としてダナパロイドナトリウムとAT-III製剤の併用が最多で,次いでAT-III製剤単剤,ワーファリン,ヘパリンが多く,経過観察は6例(30%)であった.維持療法は直接経口抗凝固薬(Direct oral anticoagulant:DOAC),ワーファリン,アスピリンが用いられた.門脈血栓治療後の経過として6例(30%)で血栓の改善や消失を認めた.食道・胃静脈瘤所見・治療の検討では,食道静脈瘤はF1が11例(55%),F2が6例(30%)であり,胃静脈瘤はF1が3例(15%)のみで合併していた.門脈血栓合併静脈瘤の内視鏡治療は5例(25%)に内視鏡的静脈瘤結紮術(Endoscopic variceal ligation:EVL)治療が行われたが,5例中3例(60%)が静脈瘤出血に対して緊急EVL,残り2例(40%)が待機的治療であった.門脈血栓症薬物治療とEVLによる内視鏡治療併用で食道胃静脈瘤治療は可能であったが,門脈血栓症や胸腹水の治療に難渋する症例があり今後の課題である. |
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ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.100.1_45 |