CAR-T細胞の製造失敗に関与するアフェレーシスのリンパ球解析
キメラ抗原受容体(Chimeric antigen receptor:CAR)T細胞の製造には,患者の単核球とCD3+T細胞を採取するが,基準値以上の細胞数を採取した場合でも一定の割合で製造失敗となる.本研究は,製造失敗に関与するT細胞の評価を目的に2020年7月~2022年9月にTisagenlecleucel製造を目的に白血球アフェレーシスを実施した32件を対象とし,リンパ球の表面マーカーおよび疲弊マーカーについて解析した.測定サンプルは,細胞調製後に凍結保存した検体を用いて,解凍後生細胞率,表面マーカー(CD45,3,4,8),疲弊マーカー(PD-1,CTLA4,TIM3,LAG3)につ...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 70; no. 3; pp. 440 - 446 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
25.06.2024
日本輸血・細胞治療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1881-3011 1883-0625 |
DOI | 10.3925/jjtc.70.440 |
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Summary: | キメラ抗原受容体(Chimeric antigen receptor:CAR)T細胞の製造には,患者の単核球とCD3+T細胞を採取するが,基準値以上の細胞数を採取した場合でも一定の割合で製造失敗となる.本研究は,製造失敗に関与するT細胞の評価を目的に2020年7月~2022年9月にTisagenlecleucel製造を目的に白血球アフェレーシスを実施した32件を対象とし,リンパ球の表面マーカーおよび疲弊マーカーについて解析した.測定サンプルは,細胞調製後に凍結保存した検体を用いて,解凍後生細胞率,表面マーカー(CD45,3,4,8),疲弊マーカー(PD-1,CTLA4,TIM3,LAG3)についてフローサイトメーターで測定した.製造状況は,成功29件(90.6%),失敗3件(9.4%)であり,製造成功群と失敗群での比較は,表面マーカーのCD4+T細胞数のみに有意差(p=0.02)を認め,疲弊マーカーには有意差を認めなかった.本研究の解析結果から,製造失敗にはCD4+T細胞数が関係している可能性が示唆された.しかし,症例数が少ないため更なる検討が必要である. |
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ISSN: | 1881-3011 1883-0625 |
DOI: | 10.3925/jjtc.70.440 |