上唇粘膜部に発生した頰粘膜癌に対し舌弁を用いて再建を行った1例

舌弁は口腔組織の優れた再建材料として知られている。舌弁は血行が良好であることや,可動性に富んでいること,移植床となる口唇,口蓋,頰粘膜に距離が近いことからその適応範囲は広い。今回われわれは左側上唇粘膜に発症した頰粘膜癌に対し,舌弁を用いた再建を行ったので報告する。患者は71歳の男性で,左側上唇粘膜面に生じた無痛性腫瘤の精査を主訴に当科を受診した。腫瘍の大きさは硬結の範囲を含めて20×16mmであった。組織生検の結果は扁平上皮癌であった。CT,MRI,頸部エコー検査で,頸部リンパ節への転移の可能性が疑われた。診断を左側頰粘膜癌(T1N1M0,Stage III)とし,根治的頸部郭清術変法,腫瘍切...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 25; no. 3; pp. 123 - 128
Main Authors 朝比奈, 泉, 大場, 誠悟, 白石, 剛士, 井, 隆司, 南里, 篤太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会 15.09.2013
日本口腔腫瘍学会
Subjects
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ISSN0915-5988
1884-4995
DOI10.5843/jsot.25.123

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Summary:舌弁は口腔組織の優れた再建材料として知られている。舌弁は血行が良好であることや,可動性に富んでいること,移植床となる口唇,口蓋,頰粘膜に距離が近いことからその適応範囲は広い。今回われわれは左側上唇粘膜に発症した頰粘膜癌に対し,舌弁を用いた再建を行ったので報告する。患者は71歳の男性で,左側上唇粘膜面に生じた無痛性腫瘤の精査を主訴に当科を受診した。腫瘍の大きさは硬結の範囲を含めて20×16mmであった。組織生検の結果は扁平上皮癌であった。CT,MRI,頸部エコー検査で,頸部リンパ節への転移の可能性が疑われた。診断を左側頰粘膜癌(T1N1M0,Stage III)とし,根治的頸部郭清術変法,腫瘍切除術,舌弁による再建術を施行した。術後2週間で舌弁の切り離しを行った。現在術後約1年が経過するが整容的,機能的に良好な結果が得られている。
ISSN:0915-5988
1884-4995
DOI:10.5843/jsot.25.123