遺伝性筋疾患のトランスレーショナルリサーチ

「はじめに」筋ジストロフィーは, 進行性の筋力低下をみる難治性の遺伝性筋疾患であるが, 次世代シーケンサー等を用いた遺伝子解析技術の発展と共に, 50種類以上の筋ジストロフィー諸型の責任遺伝子およびその遺伝子産物が知られるようになった. Duchenne型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy: DMD)の責任遺伝子であるDMDは1987年に大規模遺伝子欠失例と染色体転座例の情報をもとに, ポジショナル・クローニング研究戦略の最初の成功例として同定された. それ以降, DMDの遺伝子型, タンパク質構造, 臨床型との関連がわずか30年の間に詳細に解明された....

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Published in神経治療学 Vol. 39; no. 4; pp. 430 - 434
Main Authors 青木, 吉嗣, 本橋, 紀夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経治療学会 2022
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ISSN0916-8443
2189-7824
DOI10.15082/jsnt.39.4_430

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Summary:「はじめに」筋ジストロフィーは, 進行性の筋力低下をみる難治性の遺伝性筋疾患であるが, 次世代シーケンサー等を用いた遺伝子解析技術の発展と共に, 50種類以上の筋ジストロフィー諸型の責任遺伝子およびその遺伝子産物が知られるようになった. Duchenne型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy: DMD)の責任遺伝子であるDMDは1987年に大規模遺伝子欠失例と染色体転座例の情報をもとに, ポジショナル・クローニング研究戦略の最初の成功例として同定された. それ以降, DMDの遺伝子型, タンパク質構造, 臨床型との関連がわずか30年の間に詳細に解明された. これらの研究成果は, 核酸医薬治療や遺伝子治療に理論的根拠を与え, mRNAやゲノムDNAを標的とした治療法開発時代の到来に大きく貢献したと言える.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.39.4_430