健診データ10年間から見た潜在性甲状腺機能異常症の疫学
潜在性甲状腺機能異常症は、血清遊離サイロキシン(FT4)値は基準範囲にありながら、血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)値が基準範囲を超えて高値(機能低下)もしくは低値(機能亢進)を示す病態である。本研究では2004年4月から2014年3月までの10年間に当センターで実施した健康診断結果をまとめ、潜在性甲状腺異常症の出現状況について検討した。10年間の受診者は延べ386,846名で、潜在性甲状腺機能低下症と判定された頻度は全体の4.02%、潜在性甲状腺機能亢進症と判定された頻度は全体の1.23%であった。年齢別に検討すると、潜在性甲状腺機能低下症の出現頻度は加齢に伴って増加する傾向にあり、潜在性甲状...
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Published in | 総合健診 Vol. 44; no. 3; pp. 485 - 491 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本総合健診医学会
2017
日本総合健診医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1347-0086 1884-4103 |
DOI | 10.7143/jhep.44.485 |
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Summary: | 潜在性甲状腺機能異常症は、血清遊離サイロキシン(FT4)値は基準範囲にありながら、血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)値が基準範囲を超えて高値(機能低下)もしくは低値(機能亢進)を示す病態である。本研究では2004年4月から2014年3月までの10年間に当センターで実施した健康診断結果をまとめ、潜在性甲状腺異常症の出現状況について検討した。10年間の受診者は延べ386,846名で、潜在性甲状腺機能低下症と判定された頻度は全体の4.02%、潜在性甲状腺機能亢進症と判定された頻度は全体の1.23%であった。年齢別に検討すると、潜在性甲状腺機能低下症の出現頻度は加齢に伴って増加する傾向にあり、潜在性甲状腺機能亢進症の出現頻度は緩やかではあるが加齢に伴って減少する傾向を示した。また、年度別に検討すると、受診者数は2006年度以降ほとんど変動がないが、潜在性甲状腺機能低下症の出現頻度は増加傾向にあった。反対に潜在性甲状腺機能亢進症は減少傾向にあった。さらに、年齢別かつ年度別に検討すると、潜在性甲状腺機能低下症の出現例数は経年による傾向の変化は見られなかった。潜在性甲状腺機能亢進症は2006年度を除き40歳代にピークを認めるパターンを示すとともに、30歳代の出現例数は年々減少傾向が顕著であった。10年間を通して、潜在性甲状腺機能低下症は年々増加傾向にあり、潜在性甲状腺機能亢進症は減少傾向にあることが分かった。 |
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ISSN: | 1347-0086 1884-4103 |
DOI: | 10.7143/jhep.44.485 |