献体されたご遺体下顎骨へのインプラント体埋入トルク値とインプラント安定度指数の相関性について

インプラント体の埋入トルクとインプラント安定度指数(以下ISQ)との関係を調べるために,ご遺体下顎骨の犬歯から臼歯部にかけてインプラント体を10,20,30,40,50Ncmで埋入し,頬舌側の骨壁を維持した状態(条件Full),頬側の骨壁を除去した状態(条件Hemi)および頬舌側の骨壁を除去した状態(条件Apex)でISQを計測した.条件Fullでは埋入トルクとISQは有意な相関を示したが(相関係数r=0.6509,p=0.0004),個々のご遺体別では有意な相関性を認めなかった(p>0.05).条件Hemiにおいても埋入トルクとISQは相関性を示し(r=0.5810,p=0.0023),同じ...

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Published in日本口腔インプラント学会誌 Vol. 37; no. 4; pp. 287 - 293
Main Authors 川原, 大, 鈴木, 一, 利森, 仁, 松岡, 幸生, 仲西, 健樹, 武内, 章英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本口腔インプラント学会 31.12.2024
日本口腔インプラント学会
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ISSN0914-6695
2187-9117
DOI10.11237/jsoi.37.287

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Summary:インプラント体の埋入トルクとインプラント安定度指数(以下ISQ)との関係を調べるために,ご遺体下顎骨の犬歯から臼歯部にかけてインプラント体を10,20,30,40,50Ncmで埋入し,頬舌側の骨壁を維持した状態(条件Full),頬側の骨壁を除去した状態(条件Hemi)および頬舌側の骨壁を除去した状態(条件Apex)でISQを計測した.条件Fullでは埋入トルクとISQは有意な相関を示したが(相関係数r=0.6509,p=0.0004),個々のご遺体別では有意な相関性を認めなかった(p>0.05).条件Hemiにおいても埋入トルクとISQは相関性を示し(r=0.5810,p=0.0023),同じく個々のご遺体では相関性は観察されなかった(p>0.05).条件Apexでは埋入トルクとISQの相関性は失われ(r=-0.00838,p=0.9683),個々のご遺体別でも相関は認められなかった.いずれの埋入トルクにおいてもISQは条件FullとHemiの間には有意差はなく(p>0.05),条件Apexは,すべての埋入トルクで条件FullおよびHemiよりも低い値を示した(p<0.05).頬舌側の骨の存在下でインプラント体が埋入されると,一般的な傾向として高トルクで埋入されたインプラント体は高いISQを示すが,個々の個体別には必ずしも当てはまらず,埋入後に頬側骨が失われても高トルクで埋入されたインプラント体ほどそのISQは高い傾向を示した.しかし,個体別には当てはまらず,頬舌側の骨が失われるまでISQは維持される傾向にあることがわかった.
ISSN:0914-6695
2187-9117
DOI:10.11237/jsoi.37.287