非滅菌着衣でクリーンブースを利用した再生医療等製品向けの原料細胞調製の検討

キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法目的で採取した細胞の凍結前調製を,非滅菌着衣でクリーンブースを利用して実施する際の汚染リスクについて検討した.病院の一般環境に,半開放気流制御型クリーンブースのエアバリアブースⓇ(以下ABB,ダイダン株式会社)を設置し,その中の安全キャビネットで細胞調製を行った.調製は2名で滅菌手袋を使用したが,サンダル,ガウン,マスク,キャップは非滅菌で,同一症例では交換せず使用.65例のチサゲンレクルユーセル(キムリアⓇ)原料細胞調製時に,ABB内外8カ所で落下菌検査を,凍結直前の産物で無菌検査を実施した.非作業時清浄度は,安全キャビネット内はグレードA,ワークエリアは...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 70; no. 6; pp. 607 - 613
Main Authors 黒田, 留以, 弥永, 侑子, 上村, 知恵, 伊藤, 経夫, 五十嵐, 靖浩, 猪瀬, 里夏, 深町, 茂, 山崎, 理絵, 松橋, 博子, 浅尾, 裕美子, 田野崎, 隆二, 長谷川, 雅一, 鳥海, 綾子, 古川, 悠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 20.12.2024
日本輸血・細胞治療学会
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.70.607

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Summary:キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法目的で採取した細胞の凍結前調製を,非滅菌着衣でクリーンブースを利用して実施する際の汚染リスクについて検討した.病院の一般環境に,半開放気流制御型クリーンブースのエアバリアブースⓇ(以下ABB,ダイダン株式会社)を設置し,その中の安全キャビネットで細胞調製を行った.調製は2名で滅菌手袋を使用したが,サンダル,ガウン,マスク,キャップは非滅菌で,同一症例では交換せず使用.65例のチサゲンレクルユーセル(キムリアⓇ)原料細胞調製時に,ABB内外8カ所で落下菌検査を,凍結直前の産物で無菌検査を実施した.非作業時清浄度は,安全キャビネット内はグレードA,ワークエリアはグレードBに適合した.作業時落下菌検査陽性率は,安全キャビネット内2%,ABB内の風上最上流0%,作業者風下のワークエリア内13%(作業台高)と26%(床),サポートエリア(空気通路)43%で,検出菌は多彩だった.凍結前産物は全例培養陰性で,汚染による製造失敗はなかった.作業者風下には多彩な落下菌が認められるので,リスク評価を定期的に行い,作業手順を見直すことが重要である.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.70.607