薬剤関連顎骨壊死ポジションペーパー2023:インプラント治療のために知っておきたい改訂のポイント

2023年7月に,我が国の薬剤関連顎骨壊死(medication-related osteonecrosis of the jaw:MRONJ)に関するポジションペーパーが改訂された.前回のポジションペーパー(2016年)と比較し,MRONJのリスク因子として,抜歯やインプラント埋入のような手術侵襲よりも,根尖病変や歯周病,インプラント周囲炎などの感染が持続することがリスク因子として注意喚起された.また,我が国では骨粗鬆症治療薬によるMRONJ患者が依然として増加しており,医歯薬連携の重要性が強調されている. 抜歯などの侵襲的処置の際の骨吸収抑制薬の休薬については,原則として予防的に休薬しない...

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Bibliographic Details
Published in日本口腔インプラント学会誌 Vol. 37; no. 4; pp. 277 - 286
Main Authors 上田, 美帆, 岸本, 裕充
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本口腔インプラント学会 31.12.2024
日本口腔インプラント学会
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ISSN0914-6695
2187-9117
DOI10.11237/jsoi.37.277

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Summary:2023年7月に,我が国の薬剤関連顎骨壊死(medication-related osteonecrosis of the jaw:MRONJ)に関するポジションペーパーが改訂された.前回のポジションペーパー(2016年)と比較し,MRONJのリスク因子として,抜歯やインプラント埋入のような手術侵襲よりも,根尖病変や歯周病,インプラント周囲炎などの感染が持続することがリスク因子として注意喚起された.また,我が国では骨粗鬆症治療薬によるMRONJ患者が依然として増加しており,医歯薬連携の重要性が強調されている. 抜歯などの侵襲的処置の際の骨吸収抑制薬の休薬については,原則として予防的に休薬しないことが提案された.低用量の骨吸収抑制薬を使用している患者への歯科インプラント埋入手術については,他のMRONJリスク因子(糖尿病や自己免疫疾患,人工透析中患者など)を有していなければ,必ずしも禁忌ではない.しかし,将来的にインプラント周囲炎からMRONJを発症するリスクは十分にあるため,治療計画の立案時における配慮や,インプラント治療後のメインテナンスおよび患者教育がこれまで以上に重要であろう.
ISSN:0914-6695
2187-9117
DOI:10.11237/jsoi.37.277