周術期のD2受容体阻害薬投与が誘因となり急性ジストニアを発症したと考えられた顎変形症患者の1例
「緒言」顎矯正手術において下顎を後退させる場合には, 舌骨の位置変化による舌の移動や口腔容積の減少に伴う舌の挙上と軟口蓋の圧迫が生じ, 術後間もなく嚥下困難や嘔気をもたらす症例が多く, 十分な注意が必要である. 術後嘔気・嘔吐(PONV: postoperative nausea and vomiting)の予防, 治療目的にはD2受容体阻害薬が頻用されるが, その副作用には錐体外路症状がある. 今回われわれは, 周術期のD2受容体阻害薬投与が誘因となり急性ジストニアを発症したと考えられた顎変形症患者の1例を経験したので, 若干の文献的考察を含めて報告する. 「症例」「患者」: 初診時年齢19...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 24; no. 3; pp. 253 - 258 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
15.08.2014
日本顎変形症学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0916-7048 1884-5045 |
DOI | 10.5927/jjjd.24.253 |
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Summary: | 「緒言」顎矯正手術において下顎を後退させる場合には, 舌骨の位置変化による舌の移動や口腔容積の減少に伴う舌の挙上と軟口蓋の圧迫が生じ, 術後間もなく嚥下困難や嘔気をもたらす症例が多く, 十分な注意が必要である. 術後嘔気・嘔吐(PONV: postoperative nausea and vomiting)の予防, 治療目的にはD2受容体阻害薬が頻用されるが, その副作用には錐体外路症状がある. 今回われわれは, 周術期のD2受容体阻害薬投与が誘因となり急性ジストニアを発症したと考えられた顎変形症患者の1例を経験したので, 若干の文献的考察を含めて報告する. 「症例」「患者」: 初診時年齢19歳 男性「初診」: 2011年4月「主訴」: 上下顎の前方突出感「既往歴」: 扁桃炎, 蕎麦アレルギー「現病歴」: 小学3年から高校2年時まで非抜歯で矯正治療を受けたが, 上下顎前突の増悪を自覚し, 治療結果に不満足を訴えた結果, かかりつけ歯科医院より当科を紹介され受診した. |
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ISSN: | 0916-7048 1884-5045 |
DOI: | 10.5927/jjjd.24.253 |