局所手術により開腹再造設を回避しえたストーマ穿孔の1例

【背景】ストーマ穿孔は開腹による別部位でのストーマ造設を要する場合が多いが、緊急での一期的再造設は難易度が高い。今回、局所手術により開腹再造設を回避しえた腹壁部型ストーマ穿孔を経験したので報告する。【症例】77歳、女性。 S状結腸憩室穿孔に対するHartmann手術後で、結腸単孔式ストーマ造設状態であった。ストーマ周囲の膨隆と疼痛を主訴に前医を受診し、腹部CT検査でストーマ周囲皮下に便塊と遊離ガス像を認めた。ストーマ穿孔の診断で当院へ紹介され、緊急手術を施行した。ストーマ周囲を切開して皮下に貯留した便を除去したところ、ストーマの腹壁部に穿孔を認めた。傍ストーマヘルニアがあり、筋膜は離開していた...

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Published in日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌 Vol. 39; no. 2; pp. 47 - 53
Main Author 照田, 翔馬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 2023
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ISSN1882-0115
2434-3056
DOI10.32158/jsscr.39.2_47

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Summary:【背景】ストーマ穿孔は開腹による別部位でのストーマ造設を要する場合が多いが、緊急での一期的再造設は難易度が高い。今回、局所手術により開腹再造設を回避しえた腹壁部型ストーマ穿孔を経験したので報告する。【症例】77歳、女性。 S状結腸憩室穿孔に対するHartmann手術後で、結腸単孔式ストーマ造設状態であった。ストーマ周囲の膨隆と疼痛を主訴に前医を受診し、腹部CT検査でストーマ周囲皮下に便塊と遊離ガス像を認めた。ストーマ穿孔の診断で当院へ紹介され、緊急手術を施行した。ストーマ周囲を切開して皮下に貯留した便を除去したところ、ストーマの腹壁部に穿孔を認めた。傍ストーマヘルニアがあり、筋膜は離開していたが腹膜は保たれており、便による汚染は腹壁に限局していた。穿孔部を含めた皮膚側のストーマ脚を切除し、それより口側のストーマ脚は温存して人工肛門を再造設した。術後は抗菌薬の継続投与と皮下ドレーンの管理を行い、術後38日目に軽快退院した。【結論】腹膜炎を伴わない腹壁部型ストーマ穿孔は、局所ドレナージとストーマ脚を温存する再造設手技により、急性期の開腹を伴うストーマ再造設を回避できる可能性がある。
ISSN:1882-0115
2434-3056
DOI:10.32158/jsscr.39.2_47