黒色便を契機に発見された肺小細胞癌の十二指腸転移の1例

「I 緒言」 肺癌の消化管転移の頻度は低く, 特に十二指腸転移は稀である. 今回, 黒色便を契機に発見された肺癌の十二指腸転移の1例を経験したので報告する. 「II 症例」 患者 : 80歳代, 男性. 主訴 : 黒色便. 現病歴 : 労作時息切れのため当院を受診した. その際の胸部CTで左肺S1+2に60×46mm大の腫瘤影を認め, 気管支鏡生検所見で, クロマチンの増量や核腫大のみられるN/C比の大きな小型異型細胞が密に増生していた. インディアンファイル様の配列の乱れも認められたことから, 小細胞癌の診断となった. また, 十二指腸周囲の腫大リンパ節は認めなかったものの, 両側腸骨, 腰...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 100; no. 1; pp. 99 - 101
Main Authors 中河原, 浩史, 藤川, 博敏, 河田, 洲, 金子, 桂士, 桂, 義久, 芳賀, 大生, 森山, 光彦, 菊田, 大一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 30.06.2022
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.100.1_99

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Summary:「I 緒言」 肺癌の消化管転移の頻度は低く, 特に十二指腸転移は稀である. 今回, 黒色便を契機に発見された肺癌の十二指腸転移の1例を経験したので報告する. 「II 症例」 患者 : 80歳代, 男性. 主訴 : 黒色便. 現病歴 : 労作時息切れのため当院を受診した. その際の胸部CTで左肺S1+2に60×46mm大の腫瘤影を認め, 気管支鏡生検所見で, クロマチンの増量や核腫大のみられるN/C比の大きな小型異型細胞が密に増生していた. インディアンファイル様の配列の乱れも認められたことから, 小細胞癌の診断となった. また, 十二指腸周囲の腫大リンパ節は認めなかったものの, 両側腸骨, 腰椎, 大動脈周囲リンパ節に転移を認めたため, 肺小細胞癌(T4N1M1b cStage IVb)の診断となり, カルボプラチンとエトポシドによる化学療法を1コース施行した. その後の外来での経過観察中に黒色便を認め, Hb 6.7g/dlと高度貧血があり, 入院となった.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.100.1_99