甲状腺疾患による気管偏位に関する検討

2012年1月から2015年3月までの3年3カ月間に、健康ライフプラザを受診し、胸部X線検査を受けたのべ52,516名(男性;28,052名、女性;24,464名)を対象として、胸部正面像の読影により、気管偏位につき後ろ向き検討を行った。甲状腺疾患に起因する気管偏位が49例(0.1%)に認められた。49例中13例の気管偏位例は、受診時に甲状腺超音波検査(US)により長径が10mm以上の結節・のう胞と診断された220例のグループから検出された。  気管偏位の程度を偏位I-IVに分類し判定した。気管偏位の原因の追究は診療録における現症、既往歴、家族歴、甲状腺機能検査および診療情報提供書などを詳細に...

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Published in総合健診 Vol. 43; no. 5; pp. 567 - 575
Main Authors 伊加, 加奈子, 神野, 勉, 石蔵, 裕子, 石原, 亨介, 橋本, さおり, 倉橋, 由里子, 池窪, 勝治, 船塚, 理恵, 島屋, 真希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 2016
日本総合健診医学会
Subjects
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ISSN1347-0086
1884-4103
DOI10.7143/jhep.43.567

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Summary:2012年1月から2015年3月までの3年3カ月間に、健康ライフプラザを受診し、胸部X線検査を受けたのべ52,516名(男性;28,052名、女性;24,464名)を対象として、胸部正面像の読影により、気管偏位につき後ろ向き検討を行った。甲状腺疾患に起因する気管偏位が49例(0.1%)に認められた。49例中13例の気管偏位例は、受診時に甲状腺超音波検査(US)により長径が10mm以上の結節・のう胞と診断された220例のグループから検出された。  気管偏位の程度を偏位I-IVに分類し判定した。気管偏位の原因の追究は診療録における現症、既往歴、家族歴、甲状腺機能検査および診療情報提供書などを詳細に調査し、判定した。  49例における気管偏位の割合は偏位I;14例(28.6%)、偏位II;11例(22.4%)、偏位III;12例(24.5%)および偏位IV;12例(24.5%)であった。気管偏位の原因疾患の割合は、良性結節が26例(53%)、良性結節・橋本病4例(8%)、橋本病7例(15%)、バセドウ病と甲状腺腫は各3例(6%)であった。乳頭癌、濾胞性腫瘍、従隔内甲状腺腫、プランマー病および多発性甲状腺のう胞はいずれも各1例(2%)であった。  以上の研究結果から、胸部X線検査による気管偏位の検出においては、甲状腺疾患を念頭におき精査を行うことが重要であると思われる。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.43.567