予防医学的観点からみた脂質異常症の診断基準値および管理目標値
日本動脈硬化学会によって「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」が発表され、これが日常診療におけるリスク管理の指針として用いられてきた。これはNIPPON DATA80に基づいたリスクの重み付けを行ったものである。ところが、2014年4月に日本人間ドック学会から、超健康人とされる集団の血清脂質の平均値、標準偏差などから、血清脂質に関するいわゆる「基準範囲(基準値)」なるものが発表され、各方面で大きな社会的混乱を引き起こした。日本人間ドック学会の「基準範囲」とは、多くのいわゆる健常人から得られた検査値を多数集めて、その分布の中央95%を含む数値範囲を統計学的に計算したものであり、将来の冠動...
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          | Published in | 総合健診 Vol. 42; no. 2; pp. 287 - 292 | 
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| Main Author | |
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本総合健診医学会
    
        2015
     日本総合健診医学会  | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 1347-0086 1884-4103  | 
| DOI | 10.7143/jhep.42.287 | 
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| Summary: | 日本動脈硬化学会によって「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」が発表され、これが日常診療におけるリスク管理の指針として用いられてきた。これはNIPPON DATA80に基づいたリスクの重み付けを行ったものである。ところが、2014年4月に日本人間ドック学会から、超健康人とされる集団の血清脂質の平均値、標準偏差などから、血清脂質に関するいわゆる「基準範囲(基準値)」なるものが発表され、各方面で大きな社会的混乱を引き起こした。日本人間ドック学会の「基準範囲」とは、多くのいわゆる健常人から得られた検査値を多数集めて、その分布の中央95%を含む数値範囲を統計学的に計算したものであり、将来の冠動脈疾患の発症を予測するようなエビデンスに基づいたものではない。従って、この基準範囲を疾病の診断、将来の疾病の発症の予測、治療の目標などの目的に使用することには無理がある。これに対して、日本動脈硬化学会の基準は、将来の冠動脈疾患の発症が予測され、予防医学的な早期の対応が必要な検査の閾値、すなわち予防医学的閾値、臨床判断値である。本稿では日本動脈硬化学会が考える基準範囲とは何か?外国の基準値と日本の基準値の違い、今回の日本人間ドック学会基準との差に適応した際のリスク、健診・人間ドックなど予防医学、予防医療に従事する者に望むことなどについて述べる。 | 
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| ISSN: | 1347-0086 1884-4103  | 
| DOI: | 10.7143/jhep.42.287 |