虚血性小腸炎による回腸穿孔を併発した糖尿病性ケトアシドーシスの1例
糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis,以下,DKA)では意識障害と腹部症状をしばしば認める。今回,意識障害の影響で詳細な腹部所見をとれず,DKAの治療経過中に虚血性小腸炎による回腸穿孔を併発した症例を経験した。47歳女性が倦怠感を主訴に来院した。DKAに対する大量輸液に伴い呼吸が促迫し,気管挿管,人工呼吸器管理を行った。抜管後の第10病日に急な腹痛を認め,CTで回腸穿孔による汎発性腹膜炎と診断した。DKAでは意識障害や鎮静管理により腹部症状がマスクされ得る。虚血性腸炎はDKAの発症後数日して起こり得るため,画像検査での経時的な評価を行い,早期に介入する必要がある...
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Published in | 日本臨床救急医学会雑誌 Vol. 20; no. 4; pp. 616 - 621 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本臨床救急医学会
01.08.2017
日本臨床救急医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1345-0581 2187-9001 |
DOI | 10.11240/jsem.20.616 |
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Summary: | 糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis,以下,DKA)では意識障害と腹部症状をしばしば認める。今回,意識障害の影響で詳細な腹部所見をとれず,DKAの治療経過中に虚血性小腸炎による回腸穿孔を併発した症例を経験した。47歳女性が倦怠感を主訴に来院した。DKAに対する大量輸液に伴い呼吸が促迫し,気管挿管,人工呼吸器管理を行った。抜管後の第10病日に急な腹痛を認め,CTで回腸穿孔による汎発性腹膜炎と診断した。DKAでは意識障害や鎮静管理により腹部症状がマスクされ得る。虚血性腸炎はDKAの発症後数日して起こり得るため,画像検査での経時的な評価を行い,早期に介入する必要がある。 |
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ISSN: | 1345-0581 2187-9001 |
DOI: | 10.11240/jsem.20.616 |