血液型不適合同種造血幹細胞移植患者における輸血管理について
同種造血幹細胞移植では,患者とドナーの白血球型(ヒト白血球抗原;HLA)の適合性が優先され,ABO及びRhD血液型については異なる組み合わせの移植が可能である.ABO不適合移植には,患者がドナー赤血球抗原に対する抗体を持つABOメジャーミスマッチ,ドナーが患者赤血球抗原に対する抗体を持つABOマイナーミスマッチ,双方向に存在するABOメジャーマイナーミスマッチの3つの組み合わせがある.またRhD不適合移植に関してもメジャーとマイナーミスマッチ移植が存在する.血液型不適合造血幹細胞移植では,ドナー造血が確立するまで,患者とドナーの血液型の組み合わせにより異型適合血輸血が行われる.同一患者において...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 70; no. 5; pp. 521 - 526 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
05.10.2024
日本輸血・細胞治療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1881-3011 1883-0625 |
DOI | 10.3925/jjtc.70.521 |
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Summary: | 同種造血幹細胞移植では,患者とドナーの白血球型(ヒト白血球抗原;HLA)の適合性が優先され,ABO及びRhD血液型については異なる組み合わせの移植が可能である.ABO不適合移植には,患者がドナー赤血球抗原に対する抗体を持つABOメジャーミスマッチ,ドナーが患者赤血球抗原に対する抗体を持つABOマイナーミスマッチ,双方向に存在するABOメジャーマイナーミスマッチの3つの組み合わせがある.またRhD不適合移植に関してもメジャーとマイナーミスマッチ移植が存在する.血液型不適合造血幹細胞移植では,ドナー造血が確立するまで,患者とドナーの血液型の組み合わせにより異型適合血輸血が行われる.同一患者において,赤血球輸血と血漿・血小板輸血で異なる血液型の製剤を用いるため,管理システムで製剤種ごとに血液型を変更・設定する必要があり,かつ,複数の製剤が同時あるいは短期間に,頻回に用いられるため,製剤供給にあたっては患者と輸血製剤との適合性の確認が非常に重要である.さらに移植後の過程においては,ドナー血液型抗原やレシピエント由来の抗Aや抗Bの推移を把握し,検査結果を正しく解釈して適切な時期にドナー血液型へ変更することが望まれる. |
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ISSN: | 1881-3011 1883-0625 |
DOI: | 10.3925/jjtc.70.521 |