ADPを用いた乳児の栄養アセスメント

乳児期の栄養状態は, 成長や発達,成人期の疾病リスクまで見据えたうえでの重要なメルクマールであり, この期間に効率的に介入することによって, 将来生じうるさまざまな弊害を予防できる可能性がある点でその評価は非常に重要である. 特に低出生体重児では生下時から筋肉量が少なく, 出生後の成長によって体脂肪が蓄積しやすいことが知られており, 乳幼児期に栄養状態や成長を評価する際には体組成(成長の質)を意識することが重要である. 体組成を評価する方法は限定的であり, 体重, 身長, 頭囲やそのSDスコアのバランスをみて体組成を推測する間接的な評価方法が臨床では一般的である. 近年, 空気置換法 (ADP...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 58; no. 2; pp. 65 - 69
Main Authors 山岡, 大志郎, 中野, 有也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 15.04.2024
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ISSN0389-5564
2187-5154
DOI10.11638/jssmn.58.2_65

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Summary:乳児期の栄養状態は, 成長や発達,成人期の疾病リスクまで見据えたうえでの重要なメルクマールであり, この期間に効率的に介入することによって, 将来生じうるさまざまな弊害を予防できる可能性がある点でその評価は非常に重要である. 特に低出生体重児では生下時から筋肉量が少なく, 出生後の成長によって体脂肪が蓄積しやすいことが知られており, 乳幼児期に栄養状態や成長を評価する際には体組成(成長の質)を意識することが重要である. 体組成を評価する方法は限定的であり, 体重, 身長, 頭囲やそのSDスコアのバランスをみて体組成を推測する間接的な評価方法が臨床では一般的である. 近年, 空気置換法 (ADP: air displacement plethysmograph) を用いた体組成評価は, 精度の信頼性と測定のデメリットが少ないという利点から, 小児の体組成評価の方法として推奨されている. 現時点で導入施設は限られており, 臨床的な栄養アセスメントには用いられていないのが現状であるが, 国内外から研究報告は蓄積しており, 今後普及が望まれる. 本項では乳児期の栄養, 体組成評価の重要性とADPを用いた体組成評価の実際について概説する.
ISSN:0389-5564
2187-5154
DOI:10.11638/jssmn.58.2_65