アトピー性皮膚炎と栄養障害を背景とした難治性肘部皮下膿瘍に対し栄養療法が有効であった1例

アトピー性皮膚炎に栄養不良を合併し, 難治性肘部皮下膿瘍を生じた小児に対し, 外科的治療に加え, 積極的な栄養療法を併用することで良好な結果を得た1例を経験したので報告する. 症例は7歳男児で, 元来アトピー性皮膚炎があり, 加えて幼児期より偏食傾向があった. 今回, 6カ月前より掻痒のため左肘部を頻回に擦過するようになり, 2週間前より左肘部に発赤・腫脹が出現した. 近医小児科で抗菌薬による治療が開始されたが, 膿瘍形成を認め, 当科紹介となった. 切開排膿・ドレナージ術を行ったが, 左肘部の膿瘍残存, 左腋窩部への膿瘍波及を認めた. 偏食による低栄養状態も病態に関連していると考えられたため...

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Published in外科と代謝・栄養 Vol. 57; no. 2; pp. 79 - 84
Main Authors 神保, 教広, 藤井, 俊輔, 後藤, 悠大, 田中, 保成, 佐々木, 理人, 千葉, 史子, 堀口, 比奈子, 瓜田, 泰久, 増本, 幸二, 新開, 統子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本外科代謝栄養学会 15.04.2023
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ISSN0389-5564
2187-5154
DOI10.11638/jssmn.57.2_79

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Summary:アトピー性皮膚炎に栄養不良を合併し, 難治性肘部皮下膿瘍を生じた小児に対し, 外科的治療に加え, 積極的な栄養療法を併用することで良好な結果を得た1例を経験したので報告する. 症例は7歳男児で, 元来アトピー性皮膚炎があり, 加えて幼児期より偏食傾向があった. 今回, 6カ月前より掻痒のため左肘部を頻回に擦過するようになり, 2週間前より左肘部に発赤・腫脹が出現した. 近医小児科で抗菌薬による治療が開始されたが, 膿瘍形成を認め, 当科紹介となった. 切開排膿・ドレナージ術を行ったが, 左肘部の膿瘍残存, 左腋窩部への膿瘍波及を認めた. 偏食による低栄養状態も病態に関連していると考えられたため, 補完的静脈栄養と経腸栄養を組み合わせた積極的な栄養療法を実施した. その結果, 左肘部, 左腋窩部皮下膿瘍は治癒した. 低栄養状態を合併した複雑な感染症の場合は, 外科的治療に加え, 積極的な栄養療法の併用が有用であることが示唆された.
ISSN:0389-5564
2187-5154
DOI:10.11638/jssmn.57.2_79