骨粗鬆症スクリーニング検査としての橈骨DXA 妥当性の検討

骨粗鬆症の診断において二重エネルギーX線吸収法(DXA)での骨密度(BMD)測定は腰椎と大腿骨近位で行うことが推奨されているが、健診の現場では橈骨遠位部で行うことも多い。そこで、健診における骨粗鬆症スクリーニングとしての橈骨DXAの妥当性について検討した。検討対象は2014年10月から2017年11月の期間に健診の橈骨DXAで要精検となり、1年以内に腰椎と大腿骨のDXAを行った49~87歳の女性30名である。同一DXA装置で橈骨遠位部1/3、腰椎、大腿骨近位部のBMDを測定し、若年成人平均値に対する%値でそれぞれの較差と相関を検討した。橈骨と腰椎および橈骨と大腿骨の%YAMには有意な相関があっ...

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Published in総合健診 Vol. 46; no. 5; pp. 456 - 461
Main Authors 武井, 規安, 澤田, 叔也, 木村, 孝, 川﨑, 潤一, 宮下, 次廣, 新井, 啓五, 萎沢, 利行, 橋本, 真衣子, 道山, 真紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 10.09.2019
日本総合健診医学会
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ISSN1347-0086
1884-4103
DOI10.7143/jhep.46.456

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Summary:骨粗鬆症の診断において二重エネルギーX線吸収法(DXA)での骨密度(BMD)測定は腰椎と大腿骨近位で行うことが推奨されているが、健診の現場では橈骨遠位部で行うことも多い。そこで、健診における骨粗鬆症スクリーニングとしての橈骨DXAの妥当性について検討した。検討対象は2014年10月から2017年11月の期間に健診の橈骨DXAで要精検となり、1年以内に腰椎と大腿骨のDXAを行った49~87歳の女性30名である。同一DXA装置で橈骨遠位部1/3、腰椎、大腿骨近位部のBMDを測定し、若年成人平均値に対する%値でそれぞれの較差と相関を検討した。橈骨と腰椎および橈骨と大腿骨の%YAMには有意な相関があった(r=0.6055,p=0.0004およびr=0.5490,p=0.0017)が、橈骨と腰椎の%YAMには-10.1ポイント(p<0.0001、95%信頼区間-13.8~-6.5)の、橈骨と大腿骨では-9.5ポイント(p<0.0001、95%信頼区間-13.3~-5.8)の有意な較差が認められた。腰椎と大腿骨を標準とした場合、偽陽性率は33%と23%となる。一方、腰椎と大腿骨では有意差は認めなかった。橈骨%YAMが低値であった原因のひとつに偽陰性例が対象に含まれなかったことが考えられた。FRAXによる骨折リスクと橈骨の%YAMの相関は腰椎、大腿骨と同程度であった(それぞれr=-0.6292,-0.5498,-0.5864)。以上より、骨粗鬆症による腰椎や大腿骨頸部の脆弱性骨折リスクのスクリーニング画像検査は腰椎・大腿骨近位部のDXAがgold standardであるが、橈骨DXAも偽陽性・偽陰性の可能性に留意して実施する限りは有用であると思われた。
ISSN:1347-0086
1884-4103
DOI:10.7143/jhep.46.456