肝移植後de novo悪性腫瘍

「はじめに」肝移植後の短期・中期成績は, 手術技術の改善, 免疫抑制療法の進歩, 周術期管理の改善などにより, この半世紀の間に劇的に進歩し, 1年生存率90%, 5年生存率80%を超えるまでとなった. これは生体肝移植が中心の本邦においても同様である. これらの改善は移植後短期成績(術後1年以内)の向上によるところが大きく, 術後1年以降の生存率はあまり変化していない. 術後1年以内に起こる外科的合併症や感染症, 拒絶反応などの術後合併症を乗り越えた患者にとって, その後の長期成績に関わる最大の問題は, 新たな悪性腫瘍の発症(de novo悪性腫瘍)である. 本稿では, 肝移植後のde no...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 59; no. 2; pp. 129 - 135
Main Authors 赤松, 延久, 長谷川, 潔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
日本移植学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.2_129

Cover

More Information
Summary:「はじめに」肝移植後の短期・中期成績は, 手術技術の改善, 免疫抑制療法の進歩, 周術期管理の改善などにより, この半世紀の間に劇的に進歩し, 1年生存率90%, 5年生存率80%を超えるまでとなった. これは生体肝移植が中心の本邦においても同様である. これらの改善は移植後短期成績(術後1年以内)の向上によるところが大きく, 術後1年以降の生存率はあまり変化していない. 術後1年以内に起こる外科的合併症や感染症, 拒絶反応などの術後合併症を乗り越えた患者にとって, その後の長期成績に関わる最大の問題は, 新たな悪性腫瘍の発症(de novo悪性腫瘍)である. 本稿では, 肝移植後のde novo悪性腫瘍について, 自施設での経験を交えて概説する. 「肝移植後de novo悪性腫瘍の種類と頻度」肝移植後の悪性腫瘍の発生頻度は, 一般集団と比較して標準化罹患比(standardized incidence ratio, SIR)において2-3倍高いとされている.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.2_129