顔面非対称に対して上下顎同時骨延長術を適用したMarfan症候群の1例
「緒言」Marfan 症候群(MFS)は, 結合組織異常によって心血管系, 骨格系, 視覚器系に多様な臨床症状を呈し, fibrillin-1(FBN1)遺伝子の突然変異によっておこる常染色体優性遺伝性疾患である. Long face, 突出した眉弓, 眼球陥凹, 頬骨の低形成など特徴的な顔貌を呈し, 高口蓋, 狭窄歯列弓, 叢生, 過大なOverjet, 開咬などの口腔内所見を有する. MFSにおける顎顔面形態は一般に小下顎症が典型例とされているが, 下顎前突症の報告もあり特徴的な変化は明らかではない. MFSにおいても, 骨格性不正咬合の改善を目的として外科的矯正治療の適用が望ましいと考え...
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Published in | 日本顎変形症学会雑誌 Vol. 25; no. 1; pp. 49 - 55 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本顎変形症学会
15.04.2015
日本顎変形症学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0916-7048 1884-5045 |
DOI | 10.5927/jjjd.25.49 |
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Summary: | 「緒言」Marfan 症候群(MFS)は, 結合組織異常によって心血管系, 骨格系, 視覚器系に多様な臨床症状を呈し, fibrillin-1(FBN1)遺伝子の突然変異によっておこる常染色体優性遺伝性疾患である. Long face, 突出した眉弓, 眼球陥凹, 頬骨の低形成など特徴的な顔貌を呈し, 高口蓋, 狭窄歯列弓, 叢生, 過大なOverjet, 開咬などの口腔内所見を有する. MFSにおける顎顔面形態は一般に小下顎症が典型例とされているが, 下顎前突症の報告もあり特徴的な変化は明らかではない. MFSにおいても, 骨格性不正咬合の改善を目的として外科的矯正治療の適用が望ましいと考えられる場合もあるが, 実際のところ, 心血管系や骨格系異常の問題から全身麻酔下での顎矯正手術を適用したという報告は少ない. 今回われわれは, 心血管系症状が軽微なMFS患者に対し, 顔面非対称を改善するために上下顎同時骨延長術を適用した1例を経験し, 術後11年間の長期予後を観察したので報告する. |
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ISSN: | 0916-7048 1884-5045 |
DOI: | 10.5927/jjjd.25.49 |