小児肝移植における免疫抑制剤の管理状況~よりよい自己管理を目指して

「I. はじめに」 移植後のレシピエントは拒絶反応に備え, 生涯にわたって免疫抑制剤を内服しなければならない. さらに多剤の免疫抑制剤や感染予防薬等も内服しなければならないことから移植後の薬物療法は複雑である. 小児医療の問題として, 患児は精神的にさまざまな発達段階にあるため, 服薬を中心とした治療の理解が不十分となるという報告が散見される. また, 乳児期から常に入退院を繰り返す患児は親に対して依存的であったり, 親が患児に対して過干渉もしくは過保護になりすぎる傾向にあるため子供が積極的に治療に参加せず, 治療拒否に陥ったり適切な自己管理ができなくなるといった問題も指摘されている. 自己管...

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Published in移植 Vol. 49; no. 1; pp. 040 - 045
Main Authors 長内, 亜希子, 鳴海, 俊治, 佐藤, 織江, 山口, 智子, 須貝, 道博, 袴田, 健一, 木村, 淑子, 藤林, 美子, 漆舘, 千恵, 豊木, 嘉一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2014
日本移植学会
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.49.040

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Summary:「I. はじめに」 移植後のレシピエントは拒絶反応に備え, 生涯にわたって免疫抑制剤を内服しなければならない. さらに多剤の免疫抑制剤や感染予防薬等も内服しなければならないことから移植後の薬物療法は複雑である. 小児医療の問題として, 患児は精神的にさまざまな発達段階にあるため, 服薬を中心とした治療の理解が不十分となるという報告が散見される. また, 乳児期から常に入退院を繰り返す患児は親に対して依存的であったり, 親が患児に対して過干渉もしくは過保護になりすぎる傾向にあるため子供が積極的に治療に参加せず, 治療拒否に陥ったり適切な自己管理ができなくなるといった問題も指摘されている. 自己管理への移行や移植からの時間経過による意識の薄れが, 成長とともに, 飲み忘れや内服時間のずれる頻度を増加させる原因となると考えられている. そのため, 患児が正しく内服薬について理解し, 自己管理する必要がある.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.49.040