生体部分肝移植後de novo悪性腫瘍の検討

「I. 緒言」臓器移植後の免疫抑制により, 悪性腫瘍発生のリスクが上昇することが知られている1,2). 欧米においてはregistryが確立されており3), 肝移植後のde novo悪性腫瘍の頻度・症例数の統計が行われている. しかしそれらの多くは脳死肝移植であり, 生体部分肝移植後の発生率や好発部位などの詳細は明らかとなっていない. 当科における生体部分肝移植症例のうち, 術後にde novo悪性腫瘍を発症した症例の詳細を検討し, その特徴を明らかにするとともに, 文献的考察を加えて報告する. 「II. 対象」対象は1997年8月から2012年3月にかけて当科において生体部分肝移植を施行した...

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Published in移植 Vol. 48; no. 6; pp. 395 - 399
Main Authors 虎島, 泰洋, 高槻, 光寿, 黒木, 保, 北里, 周, 木下, 綾華, 夏田, 孔史, 江口, 晋, 原村, 智子, 曽山, 明彦, 足立, 智彦, 松島, 肇, 井上, 悠介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 10.12.2013
日本移植学会
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.48.395

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Summary:「I. 緒言」臓器移植後の免疫抑制により, 悪性腫瘍発生のリスクが上昇することが知られている1,2). 欧米においてはregistryが確立されており3), 肝移植後のde novo悪性腫瘍の頻度・症例数の統計が行われている. しかしそれらの多くは脳死肝移植であり, 生体部分肝移植後の発生率や好発部位などの詳細は明らかとなっていない. 当科における生体部分肝移植症例のうち, 術後にde novo悪性腫瘍を発症した症例の詳細を検討し, その特徴を明らかにするとともに, 文献的考察を加えて報告する. 「II. 対象」対象は1997年8月から2012年3月にかけて当科において生体部分肝移植を施行した156例中, 新規に悪性腫瘍を発病した9例(5.8%). 移植時年齢の中央値は57(0~65)歳で成人8例, 小児1例, 男女比は3:6であった. 原疾患はBudd-Chiari症候群1例, B型肝硬変3例, C型肝硬変1例, 非B非C肝硬変1例, アルコール性肝硬変1例, 遅発性肝不全(薬剤性)1例, 劇症肝炎1例であった(表1).
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.48.395