照度の違いが子どもの主観的明るさ感と快適感に及ぼす影響:水晶体の分光透過率の年齢差に着目した検討

「1. 緒言」近年の子どもは学校時間外の夜の時間においても自宅や塾などで学習する機会が多く, 学習時には, 文字がどれだけはっきり見えるかといった文字の視認性が重要になってくる. 文字の視認性にはコントラスト感度 (前景の対象物, 例えば文字, と背景のコントラストをどれだけ感じ取れるか) が関わっているが, コントラスト感度は照度が高いほど上昇することが知られている. そのため, 文字のより高い視認性を確保するために, 夜の自宅や学習塾においては明るい照明が好まれて使用される場面が多い. しかしながら, 夜の明るい光環境は概日リズムの位相後退 (夜型化) を引き起こすことや, 睡眠に関する諸...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 26; no. 3; pp. 63 - 72
Main Authors 申, 㽋敬, 樋口, 重和, 江藤, 太亮, 元村, 祐貴, 大橋, 路弘, 永田, 浩太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 25.08.2021
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.26.3_63

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Summary:「1. 緒言」近年の子どもは学校時間外の夜の時間においても自宅や塾などで学習する機会が多く, 学習時には, 文字がどれだけはっきり見えるかといった文字の視認性が重要になってくる. 文字の視認性にはコントラスト感度 (前景の対象物, 例えば文字, と背景のコントラストをどれだけ感じ取れるか) が関わっているが, コントラスト感度は照度が高いほど上昇することが知られている. そのため, 文字のより高い視認性を確保するために, 夜の自宅や学習塾においては明るい照明が好まれて使用される場面が多い. しかしながら, 夜の明るい光環境は概日リズムの位相後退 (夜型化) を引き起こすことや, 睡眠に関する諸問題と関連していることが報告されている. 特に子どもは, 中年者や高齢者と比べて瞳孔が大きく, 水晶体の光透過率が高いという眼光学特性を有することから, 夜の光の影響を強く受けることが予想される. 実際に, 夜間に分泌が高まるメラトニンへの光の影響を調べた研究では, 中年者に比べて子どもの方が夜の光曝露によって強くメラトニン分泌が抑制されることが示されている.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.26.3_63