レジリエンス研究とストレスの客観的計測法
「1. はじめに」ヒトは常に生体外部からの刺激に対して生理応答を生じさせることで生体内部の環境を一定に維持しようと努めている. 生理的・心理的応答の要因となる刺激をストレッサーと呼び, ストレッサーに対して生じる生体の反応をストレス反応と呼ぶ. 嫌悪や恐怖を引き起こすストレッサーに対するストレス反応は生存に関わるなどの重要な役割を持つ. 一方で生体が急性ストレス反応からの十分な回復力を持たない場合, 中枢神経系の損傷や心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder:PTSD)などの心身症を引き起こす可能性が示唆されており, ストレス反応からの回復力はヒトが環...
Saved in:
Published in | 日本生理人類学会誌 Vol. 28; no. 1; pp. 10 - 16 |
---|---|
Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本生理人類学会
25.02.2023
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1342-3215 2432-0986 |
DOI | 10.20718/jjpa.28.1_10 |
Cover
Summary: | 「1. はじめに」ヒトは常に生体外部からの刺激に対して生理応答を生じさせることで生体内部の環境を一定に維持しようと努めている. 生理的・心理的応答の要因となる刺激をストレッサーと呼び, ストレッサーに対して生じる生体の反応をストレス反応と呼ぶ. 嫌悪や恐怖を引き起こすストレッサーに対するストレス反応は生存に関わるなどの重要な役割を持つ. 一方で生体が急性ストレス反応からの十分な回復力を持たない場合, 中枢神経系の損傷や心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder:PTSD)などの心身症を引き起こす可能性が示唆されており, ストレス反応からの回復力はヒトが環境に適応するために重要な要素の一つであると考えられる. 特に心理社会的ストレッサーに対するストレス反応からの回復力に着目した研究において「レジリエンス」という概念が用いられる. ストレス反応からの回復を検討するにはストレス反応の定量的な計測が求められる. |
---|---|
ISSN: | 1342-3215 2432-0986 |
DOI: | 10.20718/jjpa.28.1_10 |