エタノール散布療法が奏効した術後再発ステロイド抵抗性単純性潰瘍の1例

「はじめに」単純性潰瘍は内科的, 外科的に様々な治療が行われているが現在確立された治療法はない. 今回著者らは内視鏡下エタノール散布療法が奏効した術後再発ステロイド抵抗性単純性潰瘍の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:55歳, 男性. 主訴:腹痛. 現病歴:平成2年4月より単純性潰瘍の診断にてステロイドおよびサラゾピリンの投薬を受けていた. 平成5年小腸穿孔で回盲部切除を施行されたが, その後も吻合部潰瘍の再発を繰り返し, プレドニン増量などで加療されていた. 平成14年4月腹痛の増悪がみられたがプレドニン40mg/日が開始され症状は軽快した. その後プレドニンは漸減され6月には20m...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 62; no. 2; pp. 126 - 127
Main Authors 常松, 令, 渡辺, 憲明, 熊谷, 直樹, 石井, 裕正, 矢島, 知治, 芹澤, 宏, 岩瀬, 恭子, 土本, 寛二, 日比, 紀文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.62.2_126

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Summary:「はじめに」単純性潰瘍は内科的, 外科的に様々な治療が行われているが現在確立された治療法はない. 今回著者らは内視鏡下エタノール散布療法が奏効した術後再発ステロイド抵抗性単純性潰瘍の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:55歳, 男性. 主訴:腹痛. 現病歴:平成2年4月より単純性潰瘍の診断にてステロイドおよびサラゾピリンの投薬を受けていた. 平成5年小腸穿孔で回盲部切除を施行されたが, その後も吻合部潰瘍の再発を繰り返し, プレドニン増量などで加療されていた. 平成14年4月腹痛の増悪がみられたがプレドニン40mg/日が開始され症状は軽快した. その後プレドニンは漸減され6月には20mg/日となったが腹痛が再燃し, 再度40mg/日に増量されたが腹痛が持続するため6月23日入院となった. 既往歴, 家族歴:特記すべきものなし. 身体所見:身長167cm, 体重57.2kg, 体温35.3℃, 血圧110/78mmHg, 脈拍58回/分. 眼瞼結膜貧血なし, 眼球結膜黄疸なし. 口腔内異常なし. 表在リンパ節触知せず, 甲状腺腫なし. 肺野清, 心音純. 腹部正中に手術痕を認め, 右側腹部に圧痛を認める. 陰部潰瘍なし. 下腿浮腫なし. 入院時検査成績および経過:末梢血では異常なく, 血沈1時間値15mm, CRP 2.23mg/dlと炎症反応の上昇がみられたが, 肝腎機能など他には明らかな異常を認めなかった(Table 1).
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.62.2_126