心臓移植と悪性腫瘍
「はじめに」心臓移植後はグラフトへの拒絶反応を抑制するために, 終生の免疫抑制療法が必要となる. 一方で免疫抑制療法により癌に対する免疫モニタリング体制の崩壊や抗ウイルス活性の低下が引き起こされ, 悪性腫瘍の発症率が増加する. 移植後の慢性的なグラフトからの抗体感作, 頻回な感染なども免疫機能の低下を引き起こす. またカルシニューリン阻害薬やAzathioprineなどの免疫抑制剤は癌の発症・進展を促進させる作用を持ち, 免疫抑制剤の投与量や内服期間と発癌リスクは密接に相関していると考えられている. 実際に移植後年数が長くなるごとに悪性腫瘍の発症率は増加し, 国際心肺移植学会(ISHLT)のr...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. 2; pp. 107 - 112 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
日本移植学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.2_107 |
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Summary: | 「はじめに」心臓移植後はグラフトへの拒絶反応を抑制するために, 終生の免疫抑制療法が必要となる. 一方で免疫抑制療法により癌に対する免疫モニタリング体制の崩壊や抗ウイルス活性の低下が引き起こされ, 悪性腫瘍の発症率が増加する. 移植後の慢性的なグラフトからの抗体感作, 頻回な感染なども免疫機能の低下を引き起こす. またカルシニューリン阻害薬やAzathioprineなどの免疫抑制剤は癌の発症・進展を促進させる作用を持ち, 免疫抑制剤の投与量や内服期間と発癌リスクは密接に相関していると考えられている. 実際に移植後年数が長くなるごとに悪性腫瘍の発症率は増加し, 国際心肺移植学会(ISHLT)のregistryでは成人では心臓移植後5年で16%, 10年で28%の症例に悪性腫瘍の発症が見られると報告されている. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.2_107 |