悪性大腸狭窄に対しステント挿入が有用であった2例
「はじめに」手術不能な悪性腫瘍による大腸狭窄はイレウスの合併が大きな問題となる. 治療としてのイレウス管留置や人工肛門造設は患者QOLの面から理想的な治療とは言えない. 近年悪性腫瘍による大腸狭窄に対しステント治療が試みられているが, 今のところ安全性・有用性の面から確立された治療法とはなってない. 今回我々はイレウス症状を呈した大腸悪性狭窄に対するステント挿入で良好な経過を得た2例を経験したので報告する. 「症例」患者1:65歳, 女性. 主訴:便意頻回. 平成11年4月進行胃癌に対し, 胃亜全摘術を施行. 平成12年9月排便異常がみられ当センター受診. 入院後の精査にて胃癌再発による腹膜播...
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 59; no. 2; pp. 116 - 117 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
2001
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
Subjects | |
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ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
DOI | 10.11641/pde.59.2_116 |
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Summary: | 「はじめに」手術不能な悪性腫瘍による大腸狭窄はイレウスの合併が大きな問題となる. 治療としてのイレウス管留置や人工肛門造設は患者QOLの面から理想的な治療とは言えない. 近年悪性腫瘍による大腸狭窄に対しステント治療が試みられているが, 今のところ安全性・有用性の面から確立された治療法とはなってない. 今回我々はイレウス症状を呈した大腸悪性狭窄に対するステント挿入で良好な経過を得た2例を経験したので報告する. 「症例」患者1:65歳, 女性. 主訴:便意頻回. 平成11年4月進行胃癌に対し, 胃亜全摘術を施行. 平成12年9月排便異常がみられ当センター受診. 入院後の精査にて胃癌再発による腹膜播種, Schnitzler転移と診断. 約8cmにわたる直腸の全周性狭窄及び両側尿管狭窄を認めた. 腎後性腎不全の進行から尿管狭窄に対してdouble-J stentを挿入. その後経過中にイレウス症状を来した. QOL重視の点から直腸狭窄に対し, 12月18日ステント挿入を試みた. 内視鏡及び注腸X線検査ではRb portionから約8cmにわたる全周性壁外性狭窄を認め, 狭窄部位の最小径は約7mmであった. 狭窄部位に対し食道用non-covered typeのstent(Ultraflex社製), 長さ10cmのものを挿入した. 挿入直後よりステントはほぼ完全に拡張し内径は約18mm確保された(Fig.1, 2). |
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ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.59.2_116 |