左側門脈圧亢進症に伴う胃静脈瘤の1例
「はじめに」左側門脈圧亢進症は脾静脈の閉塞に起因する比較的稀な病態であり, 臨床的には合併する胃静脈瘤からの出血が問題となる. 今回われわれは脾摘と血行郭清により改善を認めた胃静脈瘤の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:75歳, 男性. 主訴:貧血精査. 家族歴, 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成8年5月に健診にて多発性肝腫瘍を指摘され, 当科紹介受診となった. 精査の結果, 膵尾部のインスリノーマ, 多発肝転移と診断した. この時点で腫瘍により脾静脈は途絶しており, 排血路として短胃静脈と胃体部大彎の静脈瘤の発達が観察された. 肝転移巣が増大傾向にあったため, 平成11年7...
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 63; no. 2; pp. 100 - 101 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
Subjects | |
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ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
DOI | 10.11641/pde.63.2_100 |
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Summary: | 「はじめに」左側門脈圧亢進症は脾静脈の閉塞に起因する比較的稀な病態であり, 臨床的には合併する胃静脈瘤からの出血が問題となる. 今回われわれは脾摘と血行郭清により改善を認めた胃静脈瘤の1例を経験したので報告する. 「症例」患者:75歳, 男性. 主訴:貧血精査. 家族歴, 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:平成8年5月に健診にて多発性肝腫瘍を指摘され, 当科紹介受診となった. 精査の結果, 膵尾部のインスリノーマ, 多発肝転移と診断した. この時点で腫瘍により脾静脈は途絶しており, 排血路として短胃静脈と胃体部大彎の静脈瘤の発達が観察された. 肝転移巣が増大傾向にあったため, 平成11年7月にストレプトゾシン投与を開始した. 転移巣は一時縮小したが, 平成13年7月頃から再び増大傾向となっていた. 平成14年12月26日突然の意識障害および吐血にて入院となった. 入院時現症:体格中等度, 栄養中等度, 血圧60/-mmHg, 脈拍100/分・整, 体温36.6℃, 意識レベルJCS1, 眼瞼結膜軽度貧血, 眼球結膜黄染なし, 胸腹部異常なし, 下肢浮腫あり. 入院時検査所見:GOT 36IU/L, GPT 65IU/Lと軽度の肝障害, 赤血球数314万/μL, Hb 9.4g/dL, Ht 28.1%と軽度の貧血を認めた(Table 1). |
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ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.63.2_100 |