摂食・嚥下評価表による統合失調症患者の窒息リスクのスクリーニング
【目的】入院中の統合失調症患者の窒息リスクを評価するために,摂食・嚥下状況を調査し,窒息の既往がある患者に有意な内容を同定した.統合失調症患者の窒息リスクのスクリーニング法を考案した.【対象と方法】統合失調症患者の摂食・嚥下状況に関する13 の質問で構成された摂食・嚥下評価表を作成した.看護師が評価表を使って入院中の統合失調症患者98 人を評価した.診療録から対象の窒息の既往を調査し,窒息の既往の有無で2 群に分類した.評価表で得られた回答を2 群で比較した.判別分析によって,統合失調症患者の窒息の既往の判定に寄与する質問を同定した.統合失調症患者の窒息リスクのスクリーニング法を作成した.【結...
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| Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 13; no. 3; pp. 207 - 214 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
31.12.2009
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1343-8441 2434-2254 |
| DOI | 10.32136/jsdr.13.3_207 |
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| Summary: | 【目的】入院中の統合失調症患者の窒息リスクを評価するために,摂食・嚥下状況を調査し,窒息の既往がある患者に有意な内容を同定した.統合失調症患者の窒息リスクのスクリーニング法を考案した.【対象と方法】統合失調症患者の摂食・嚥下状況に関する13 の質問で構成された摂食・嚥下評価表を作成した.看護師が評価表を使って入院中の統合失調症患者98 人を評価した.診療録から対象の窒息の既往を調査し,窒息の既往の有無で2 群に分類した.評価表で得られた回答を2 群で比較した.判別分析によって,統合失調症患者の窒息の既往の判定に寄与する質問を同定した.統合失調症患者の窒息リスクのスクリーニング法を作成した.【結果】窒息の既往がある患者は4 人,窒息の既往がない患者は94 人であった.窒息の既往がある統合失調症患者に有意に多かった回答は,「義歯が必要であるが使用していない」 (p=0.03),「ほとんど丸飲みする」(p<0.01),「今までに盗食や隠れ食べがある」 (p<0.01),「飲み込みが改善した」 (p=0.03) であった.窒息の既往がある患者に有意に少なかったのは,「口に食物をためたままなかなか飲み込まない」 (p<0.01) であった.判別分析から作成したスクリーニング法は,「ほとんど丸飲みする:+ 1 点」「今までに盗食や隠れ食べがある:+ 1 点」「飲み込みが改善した:+ 2 点」で構成され,3 つの項目の合計が2 点以上のとき窒息のリスクが高いと判定した.このスクリーニング法は判別率92.9%,敏感度100%,特異度92.6% であった.【結論】統合失調症患者の窒息の背景には,摂食動作の異常や精神疾患による異常行動があり,飲み込みが改善した患者で発生しやすいことが示唆された.統合失調症患者の窒息のリスクマネージメントに有用なスクリーニング法と摂食・嚥下評価表を提案した. |
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| ISSN: | 1343-8441 2434-2254 |
| DOI: | 10.32136/jsdr.13.3_207 |