高齢期における骨格筋の質的評価法の確立とその臨床応用
「1. はじめに」 サルコペニアは加齢に伴う進行性かつ全身性の筋量減少, 筋力・運動機能が低下した状態として定義され, 将来の転倒, 機能障害や総死亡リスクの要因となることが知られている. 骨格筋量と筋力を調査した縦断研究によると, 75歳以上の高齢者における骨格筋量の年間減少率は約1%であるのに対して筋力の年間低下率は約3%であり, 筋力低下は筋量減少の約3倍大きいことが示されている. つまり, この筋力低下は筋量減少だけでは説明できないことが分かる. この理由として運動ニューロンの脱神経や興奮性低下といった神経的要因のほか, 骨格筋内への脂肪浸潤や結合組織の増加といった構造的要因の変化が挙...
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| Published in | 日本基礎理学療法学雑誌 Vol. 22; no. 1; pp. 25 - 31 |
|---|---|
| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本基礎理学療法学会
10.12.2019
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 2186-0742 2434-0731 |
| DOI | 10.24780/jptf.22.1_25 |
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| Summary: | 「1. はじめに」 サルコペニアは加齢に伴う進行性かつ全身性の筋量減少, 筋力・運動機能が低下した状態として定義され, 将来の転倒, 機能障害や総死亡リスクの要因となることが知られている. 骨格筋量と筋力を調査した縦断研究によると, 75歳以上の高齢者における骨格筋量の年間減少率は約1%であるのに対して筋力の年間低下率は約3%であり, 筋力低下は筋量減少の約3倍大きいことが示されている. つまり, この筋力低下は筋量減少だけでは説明できないことが分かる. この理由として運動ニューロンの脱神経や興奮性低下といった神経的要因のほか, 骨格筋内への脂肪浸潤や結合組織の増加といった構造的要因の変化が挙げられる. このうち, 近年, 骨格筋内に占める脂肪・結合組織などの非収縮組織割合の増加を骨格筋の質的低下として定義し, 筋力低下や機能障害との関連を調査した研究が数多く報告されている. 我々もまた, 超音波Bモード画像法(以下, 超音波法)や生体電気インピーダンス法を用いて, 骨格筋の質的指標を計測し, 加齢に伴う筋力低下や運動機能との関連を調査している. |
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| ISSN: | 2186-0742 2434-0731 |
| DOI: | 10.24780/jptf.22.1_25 |