膵臓移植と悪性腫瘍

「はじめに」本邦の臓器移植の成績はすべての臓器で世界トップレベルにあり, 臓器不全に対する根治療法として保険収載されている. しかしながら臓器移植後には免疫抑制療薬の持続投与が必須であり, 感染症の発症に加えて悪性腫瘍の発症率が高くなることが報告され, 臓器移植医療の大きな課題となっている. 膵臓移植は内因性インスリンが枯渇した重症糖尿病患者を対象とする移植治療であり, その成績も良好である. 本稿では, 本邦の膵臓移植の現況と悪性腫瘍の発症について報告する. 「本邦の膵臓移植の現況」本邦において, 1984年筑波大学で脳死ドナーからの国内初の膵臓移植が行われた. その後脳死に対する社会的なコ...

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Published in移植 Vol. 59; no. 2; pp. 167 - 172
Main Authors 剣持, 敬, 伊藤, 泰平, 栗原, 啓, 會田, 直弘, 富丸, 慶人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2024
日本移植学会
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.59.2_167

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Summary:「はじめに」本邦の臓器移植の成績はすべての臓器で世界トップレベルにあり, 臓器不全に対する根治療法として保険収載されている. しかしながら臓器移植後には免疫抑制療薬の持続投与が必須であり, 感染症の発症に加えて悪性腫瘍の発症率が高くなることが報告され, 臓器移植医療の大きな課題となっている. 膵臓移植は内因性インスリンが枯渇した重症糖尿病患者を対象とする移植治療であり, その成績も良好である. 本稿では, 本邦の膵臓移植の現況と悪性腫瘍の発症について報告する. 「本邦の膵臓移植の現況」本邦において, 1984年筑波大学で脳死ドナーからの国内初の膵臓移植が行われた. その後脳死に対する社会的なコンセンサスが得られず, 東京女子医科大学を中心に心停止ドナーから14例の膵臓移植が行われた.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.59.2_167