診断に苦慮した若年性腸結核の1例

• Published in: Progress of Digestive Endoscopy Vol. 82; no. 1; pp. 180 - 181
• Main Authors: 阿部, 真久, 久野木, 直人, 絹川, 典子, 横田, 崇, 大谷, 豪, 森山, 光彦, 小川, 眞広, 白木, 聡子, 神津, 馨里奈, 西山, 竜, 中川, 太一, 大城, 周, 赤井, 祐一, 林田, まり子, 中島, 典子, 田中, 直英
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 14.06.2013; 日本消化器内視鏡学会関東支部会
• Subjects: Crohn病; 腸結核
• ISSN: 1348-9844; 2187-4999
• DOI: 10.11641/pde.82.1_180

「はじめに」 腸結核の診断において, 結核菌が検出されない場合は消化管内視鏡検査, 注腸検査所見で形態的に判断せざるを得ない. しかし, 好発部位や内視鏡所見が類似するため, 炎症性腸疾患, とりわけCrohn病との鑑別が困難な場合がある. 今回, 診断に苦慮した若年者腸結核の1例を経験したので報告する. 「症例」 患者:21歳, 男性. 主訴:下痢, 発熱. 家族歴:特記すべきことなし. 肺結核の既往歴なし. 既往歴:18歳交通外傷後症候性てんかん. 生活歴:飲酒歴なし, 喫煙歴なし. 現病歴:外傷後症候性てんかんで, 当院脳外科に通院中であった. 1カ月前より腹痛を伴う3行/日の水様性下痢が持続したため, 精査目的で当科に紹介となった. 下部消化管内視鏡検査を施行したところ, 回盲部中心に多発するびらん, 潰瘍を認め, 炎症性腸疾患を疑い加療目的に入院となった. 入院時現症:身長183.5cm, 体重54.4kg, BMI 16.16, 体温38.2℃, 血圧98/67mmHg, 脈拍98回/分・整, 眼瞼結膜に貧血あり, 胸部病理組織学的所見に異常なし, 腹部平坦・軟, 腹部全体に圧痛あり, 下腿浮腫なし.