肝移植後に橋中心髄鞘崩壊症を発症した患者に対する包括的ケアにおけるレシピエントコーディネーターの役割

「I. はじめに」移植医療におけるレシピエント移植コーディネーター(以下RTC)の役割は, 移植前の意思決定支援から周術期はもとより, 退院後も継続して移植患者および家族の支援を行うことである. 臓器移植患者は, 身体的・精神的および社会的な問題を抱えていることが多く, また, 患者により問題の内容も異なる. RTCには, 患者の抱える問題を的確に把握し, 問題解決を支援するチーム医療のキーパーソンとして, 各医療専門職と連携を図る役割も求められる. 今回, RTCとして肝臓移植後に橋中心髄鞘崩壊症(以下CPM)を発症した症例に関わった. CPMとは, 橋中心部に出現する類円状の脱髄病変が特徴...

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Published in移植 Vol. 57; no. 1; pp. 119 - 124
Main Authors 木村, 隆, 見城, 明, 丸橋, 繁, 國分, 希美, 西間木, 淳, 岡田, 良, 渡邊, 淳一郎, 武藤, 亮, 石亀, 輝英, 佐藤, 直哉, 鈴志野, 聖子, 月田, 茂之, 小船戸, 康英
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
日本移植学会
Subjects
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.1_119

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Summary:「I. はじめに」移植医療におけるレシピエント移植コーディネーター(以下RTC)の役割は, 移植前の意思決定支援から周術期はもとより, 退院後も継続して移植患者および家族の支援を行うことである. 臓器移植患者は, 身体的・精神的および社会的な問題を抱えていることが多く, また, 患者により問題の内容も異なる. RTCには, 患者の抱える問題を的確に把握し, 問題解決を支援するチーム医療のキーパーソンとして, 各医療専門職と連携を図る役割も求められる. 今回, RTCとして肝臓移植後に橋中心髄鞘崩壊症(以下CPM)を発症した症例に関わった. CPMとは, 橋中心部に出現する類円状の脱髄病変が特徴で, 四肢麻痺, 痙攣, 昏睡などさまざまな神経症状を呈し, 時に致死的な疾患である. ナトリウムの急激な補正, 血清浸透圧の急激な変化や薬剤が誘因となり発症するといわれている. 近年では, 積極的に対症療法を実施することで予後は改善してきたが, 神経学的な後遺症を残すことが多い.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.1_119