小型デジタルスケールを用いた下肢筋力測定の信頼性と妥当性の検討

【目的】徒手筋力検査法は理学療法士として最も使用頻度が高い筋力の評価法であるが順序尺度のため各グレードの間隔が一定ではなく、グレード判定の正確性と客観性に欠ける。そこで筋力の客観的な評価法として通販サイトなどで安価で容易に購入できる小型デジタルスケール(小型DS)での筋力測定における有用性を検証した。【方法】小型DSの筋力測定について病院常備のハンドヘルドダイナモメーター(HHD)と比較することで、その信頼性と妥当性について検証した。測定筋は膝関節伸展筋と股関節外転筋とし、測定方法は徒手筋力テストに準じて工夫した。検者は一定の経験を有する理学療法士2名とし、被検者の数は先行研究を参考にしてサン...

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Published in理学療法福岡 Vol. 36; no. 36; pp. 81 - 87
Main Authors 高田, 一希, 田村, 太輝, 平山, 史朗, 渡邉, 英夫, 坂田, 修治, 坂口, 翔平, 島袋, 公史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 福岡県理学療法士会 2023
福岡県理学療法士会
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ISSN1342-1433
2758-0652
DOI10.57315/fpta.36.0_81

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Summary:【目的】徒手筋力検査法は理学療法士として最も使用頻度が高い筋力の評価法であるが順序尺度のため各グレードの間隔が一定ではなく、グレード判定の正確性と客観性に欠ける。そこで筋力の客観的な評価法として通販サイトなどで安価で容易に購入できる小型デジタルスケール(小型DS)での筋力測定における有用性を検証した。【方法】小型DSの筋力測定について病院常備のハンドヘルドダイナモメーター(HHD)と比較することで、その信頼性と妥当性について検証した。測定筋は膝関節伸展筋と股関節外転筋とし、測定方法は徒手筋力テストに準じて工夫した。検者は一定の経験を有する理学療法士2名とし、被検者の数は先行研究を参考にしてサンプルサイズを27名とした。統計学的検証は検者内と検者間のそれぞれの信頼性は級内相関係数を、妥当性の検証にはSpearman順位相関係数を採用した。【結果】検者内の信頼性はICC(1.1)で膝関節伸筋の小型DSでは0.85と0.72、HHDでは双方の被検者で0.92、また、股関節外転筋では小型DSで0.88と0.76、HHDで0.87と0.68といずれも有意な信頼性を示した。検者間の信頼性はICC(2.2)で膝関節伸展筋が小型DSで0.81、HHDで0.92、股関節外転筋では小型DSで0.77、 HHDで0.63と股関節外転筋のHHDがやや低いもののいずれも有意な信頼性を示した。また、双方の機器の妥当性については相関係数で膝関節伸展筋が0.72、股関節外転筋が0.76といずれも有意な相関を認めた。【考察】今回、小型DSによる筋力測定はHHDと比較して、信頼性と妥当性が認められたことにより、客観的な筋力測定として有用な方法となりえる。
ISSN:1342-1433
2758-0652
DOI:10.57315/fpta.36.0_81