早期病変から進行癌へ進展した虫垂粘液囊胞腺癌の1例
「はじめに」我々は早期病変の段階で発見されたが, 患者側の事情により3年後に進行癌に進展してから手術がなされた虫垂粘液嚢胞腺癌の1例を経験した. 結果的に早期病変から進行癌への形態変化を内視鏡的に観察し得た貴重例であると考え報告する. 「症例」患者:89歳, 男性. 1999年4月, 下腹部痛を主訴に栃木県立がんセンターを受診した. 大腸内視鏡検査で虫垂孔を中心に表面平滑な20mmの隆起性病変を認めた. 病変の基部には, はちまき襞を伴い, 虫垂孔より白濁した粘液の流出を認めた(Color 1). CTにて盲腸末端にwater densityの領域を有する腫瘤が認められたた(Fig. 1)....
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Published in | Progress of Digestive Endoscopy Vol. 62; no. 2; pp. 108 - 109 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
2003
日本消化器内視鏡学会関東支部会 |
Subjects | |
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ISSN | 1348-9844 2187-4999 |
DOI | 10.11641/pde.62.2_108 |
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Summary: | 「はじめに」我々は早期病変の段階で発見されたが, 患者側の事情により3年後に進行癌に進展してから手術がなされた虫垂粘液嚢胞腺癌の1例を経験した. 結果的に早期病変から進行癌への形態変化を内視鏡的に観察し得た貴重例であると考え報告する. 「症例」患者:89歳, 男性. 1999年4月, 下腹部痛を主訴に栃木県立がんセンターを受診した. 大腸内視鏡検査で虫垂孔を中心に表面平滑な20mmの隆起性病変を認めた. 病変の基部には, はちまき襞を伴い, 虫垂孔より白濁した粘液の流出を認めた(Color 1). CTにて盲腸末端にwater densityの領域を有する腫瘤が認められたた(Fig. 1). 虫垂孔よりの生検結果はTubulo-villous adenomaであったが, 粘液嚢胞腺癌も否定できないため手術を勧めたが, 高齢であること, 生検結果が悪性ではなかったことを理由に本人と家族が手術を希望せず, 通院も自己中止していた. 2002年4月, 下腹部痛を主訴に近医を受診し, 内視鏡検査で盲腸腫瘍を指摘され, 自治医大消化器一般外科を受診した. 入院時現症:右下腹部に自発痛を認め, 同部位に腫瘤を触知した. 入院時検査所見:CA19-9が110U/mlと高値を示していたほかは異常を認めなかった. 大腸内視鏡検査:盲腸に5cmの隆起性病変を認めた表面は易出血性で粘液の付着を認めた(Color 2). |
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ISSN: | 1348-9844 2187-4999 |
DOI: | 10.11641/pde.62.2_108 |