市販アイスクリーム類の食品テクスチャー特性の経時的変化について

「緒言」アイスクリーム類は, 本邦の消費者調査において, 1997年から2017年まで連続で好きなデザートの第1位で, 国民的嗜好品である. 近年では, 高齢者やがん患者の食欲不振や体重減少などに対する栄養管理にも導入されている. また, 冷刺激による嚥下反射促進効果や口あたりのよさから, 嚥下機能が低下した患者や高齢者の摂食療法に用いることがある. 本邦で市販されているアイスクリーム類(以下, 市販アイス)は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」により, 乳固形分と乳脂肪分の割合によってアイスクリーム, アイスミルク, ラクトアイスに分けられる. 市販アイスは冷凍された状態では固体状である...

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Published in日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 44 - 47
Main Authors 上羽, 瑠美, 後藤, 多嘉緒, 兼岡, 麻子, 横山, 明子, 佐藤, 拓, 井口, はるひ, 二藤, 隆春, 山岨, 達也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 30.04.2019
日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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ISSN1343-8441
2434-2254
DOI10.32136/jsdr.23.1_44

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Summary:「緒言」アイスクリーム類は, 本邦の消費者調査において, 1997年から2017年まで連続で好きなデザートの第1位で, 国民的嗜好品である. 近年では, 高齢者やがん患者の食欲不振や体重減少などに対する栄養管理にも導入されている. また, 冷刺激による嚥下反射促進効果や口あたりのよさから, 嚥下機能が低下した患者や高齢者の摂食療法に用いることがある. 本邦で市販されているアイスクリーム類(以下, 市販アイス)は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」により, 乳固形分と乳脂肪分の割合によってアイスクリーム, アイスミルク, ラクトアイスに分けられる. 市販アイスは冷凍された状態では固体状であるが, 常温環境では時間経過によりゲル(固体状で流動性がないコロイド溶液)からゾル(流動性のあるコロイド溶液)へと変化する. そのため, 嚥下機能が低下した患者が市販アイスを摂取する際には, 温度や時間, 咀嚼運動などにより市販アイスの食品テクスチャー特性が変化することや, ゾル状に変化した場合の誤嚥のリスクを考慮する必要がある.
ISSN:1343-8441
2434-2254
DOI:10.32136/jsdr.23.1_44