心停止ドナーから見た心臓および肺移植の世界の現状とわが国の課題—臓器横断的取り組みでドナープール拡大を
「I. 背景」 わが国の脳死からの臓器移植は2010年の法改正後も深刻なドナー不足を抱えており, 従来の心停止での臓器提供もかえって減少している. 生体移植のない心臓移植では補助人工心臓装着下の長期待機と待機中死亡が減少しない状況が続いている. 肺移植についても生体肺葉移植の選択肢は限られ, 脳死移植に依存するところが大きい. 一方, 臓器移植全般でマージナルドナーへの対応が進んでいるが, ドナープール拡大には限定的である. 「II. 海外でのドナープール拡大への動き」 海外では脳死臓器提供(donation after brain death, DBD)に加えて, 心停止での臓器提供(don...
Saved in:
Published in | 移植 Vol. 57; no. 2; pp. 163 - 168 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
日本移植学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.2_163 |
Cover
Summary: | 「I. 背景」 わが国の脳死からの臓器移植は2010年の法改正後も深刻なドナー不足を抱えており, 従来の心停止での臓器提供もかえって減少している. 生体移植のない心臓移植では補助人工心臓装着下の長期待機と待機中死亡が減少しない状況が続いている. 肺移植についても生体肺葉移植の選択肢は限られ, 脳死移植に依存するところが大きい. 一方, 臓器移植全般でマージナルドナーへの対応が進んでいるが, ドナープール拡大には限定的である. 「II. 海外でのドナープール拡大への動き」 海外では脳死臓器提供(donation after brain death, DBD)に加えて, 心停止での臓器提供(donation after cardiac/circulatory death, DCD)を積極的に導入することによりドナープールの拡大に繋げている. DCDのドナーについては計画的生命維持治療の中止(withdrawal of life support therapy, WLST)を伴うMaastricht Category III (MC-III)のcontrolled DCD (cDCD)が主体である. |
---|---|
ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.2_163 |