大腸内視鏡を利用した簡便な逆行性小腸造影により回盲部病変を正確に診断し得たクローン病の1例

「はじめに」クローン病において, 回盲部や遠位回腸に複雑な瘻孔形成や狭窄を有し, 外科的切除を必要とする症例は多い. しかし, 術前に大腸内視鏡検査や注腸造影検査, 経口法・ゾンデ法による小腸造影検査などでは同部位の病変を正確に診断することが困難な場合も少なくない. 川村ら1), 竹中ら2)は, 大腸内視鏡検査の際に, ガイドワイヤーを用いてバルーンカテーテルを回腸末端まで挿入して行う逆行性小腸造影が, 同部位の評価に有用であったと報告している. しかし, このバルーンカテーテルの挿入は煩雑であり実用的でないことに問題がある. 今回, 我々は大腸内視鏡検査時にバルーンカテーテルを用いず, 鉗子...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy Vol. 58; no. 2; pp. 114 - 115
Main Authors 正田, 良介, 松枝, 啓, 山下, 浩子, 林, 茂樹, 猿田, 雅之, 村岡, 亮, 大和, 滋, 朝山, 雅子, 岡, 裕之, 正木, 尚彦, 吉永, 秀哉, 秋山, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部 2001
日本消化器内視鏡学会関東支部会
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ISSN1348-9844
2187-4999
DOI10.11641/pde.58.2_114

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Summary:「はじめに」クローン病において, 回盲部や遠位回腸に複雑な瘻孔形成や狭窄を有し, 外科的切除を必要とする症例は多い. しかし, 術前に大腸内視鏡検査や注腸造影検査, 経口法・ゾンデ法による小腸造影検査などでは同部位の病変を正確に診断することが困難な場合も少なくない. 川村ら1), 竹中ら2)は, 大腸内視鏡検査の際に, ガイドワイヤーを用いてバルーンカテーテルを回腸末端まで挿入して行う逆行性小腸造影が, 同部位の評価に有用であったと報告している. しかし, このバルーンカテーテルの挿入は煩雑であり実用的でないことに問題がある. 今回, 我々は大腸内視鏡検査時にバルーンカテーテルを用いず, 鉗子孔より散布チューブを挿入して逆行性小腸造影を施行し, 比較的簡便かつ正確に回盲部及び遠位回腸の病変を診断し得たクローン病の1例を経験したので報告する. 「症例」症例は36歳男性. 平成8年2月に右下腹部痛を主訴に近医入院し, 虫垂炎の診断で切除術を施行. 病理組織所見でクローン病と診断されたが, 以後無症状で経過していた. 平成11年10月に右下腹部痛の再燃あり近医入院. メサラジン, プレドニゾロンなどを投与されたが, 寛解, 増悪を繰り返すため, 精査加療目的で平成12年3月に当センター転院となった. 既往歴, 家族歴に特記すべきことはなく, 入院時現症では, 右下腹部に腫瘤を触知し, 同部位に圧痛を認めた.
ISSN:1348-9844
2187-4999
DOI:10.11641/pde.58.2_114