悪性腫瘍の既往歴があるレシピエントに対する腎移植の適応—がん治療の進歩に伴う待機期間の変化
「はじめに」移植前悪性腫瘍(pretransplant malignancy:PTM)の既往を有するレシピエント候補は, 移植後の免疫抑制が癌の再発リスクを増大させ, 患者生存率に影響を与える可能性や脳死下・心停止後臓器提供における臓器の有功活用・適正配分という観点から, がん治療後に適切な待機期間を設ける事が推奨されている. 一方で, 待機期間は, PTMの発生臓器・組織型・病期等と共に最新の治療効果を考慮した設定が必要である. 本稿では, 2000年代, 2010年代のPTMに関するガイドライン2つとアメリカ移植学会(AST)による2019年コンセンサスワークショップの推奨事項を解説するこ...
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Published in | 移植 Vol. 59; no. 2; pp. 147 - 155 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2024
日本移植学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.59.2_147 |
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Summary: | 「はじめに」移植前悪性腫瘍(pretransplant malignancy:PTM)の既往を有するレシピエント候補は, 移植後の免疫抑制が癌の再発リスクを増大させ, 患者生存率に影響を与える可能性や脳死下・心停止後臓器提供における臓器の有功活用・適正配分という観点から, がん治療後に適切な待機期間を設ける事が推奨されている. 一方で, 待機期間は, PTMの発生臓器・組織型・病期等と共に最新の治療効果を考慮した設定が必要である. 本稿では, 2000年代, 2010年代のPTMに関するガイドライン2つとアメリカ移植学会(AST)による2019年コンセンサスワークショップの推奨事項を解説することによってPTMの既往を有するレシピエント候補の待機期間や腎移植適応の変化を解説する. 「腎移植後の悪性腫瘍発生と予後について」「1. 悪性腫瘍発生頻度」腎移植後の悪性腫瘍の発生は, 年齢と性別を一致させた一般集団と比較して約2~4倍に増加すると報告されている. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.59.2_147 |