内転型けいれん性発声障害の3例に認められた声帯運動調節異常 (/ke/の場合)

/ke/の, 1回ごとに吸気をはさんだ反復発声を行ったときの声帯運動をファイバースコープを用いてビデオ録画し, 両側声帯が発声を意図して内転運動を始めてから破裂を完了して接するまでの声門開大度の変化を観察したところ以下のことが分かった. 1. 正常では両側声帯の膜様部が接触する前に破裂が完了していた. 2. SDでは破裂の前にいったん声門が閉鎖 (破裂前閉鎖) し, 破裂のために改めて声門間隙を形成するパターンを示した. 3. 破裂前閉鎖時間の持続が長いほど声のつまりが強いと考えられた. 4. SDの3例ともVOTが短かった. 5. 以上により, SDのある例では構音器官の協調運動をつかさどる...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 96; no. 4; pp. 659 - 664,737
Main Author 渋沢, 三伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.04.1993
日本耳鼻咽喉科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.96.659

Cover

More Information
Summary:/ke/の, 1回ごとに吸気をはさんだ反復発声を行ったときの声帯運動をファイバースコープを用いてビデオ録画し, 両側声帯が発声を意図して内転運動を始めてから破裂を完了して接するまでの声門開大度の変化を観察したところ以下のことが分かった. 1. 正常では両側声帯の膜様部が接触する前に破裂が完了していた. 2. SDでは破裂の前にいったん声門が閉鎖 (破裂前閉鎖) し, 破裂のために改めて声門間隙を形成するパターンを示した. 3. 破裂前閉鎖時間の持続が長いほど声のつまりが強いと考えられた. 4. SDの3例ともVOTが短かった. 5. 以上により, SDのある例では構音器官の協調運動をつかさどる中枢に問題がある可能性が示唆された.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.96.659