急性外傷性脳損傷後に時定数2秒の頭皮上脳波で皮質拡散脱分極(cortical spreading depolarizations; CSD)が記録された1例

症例は82歳女性.頭部外傷後6日目に意識障害を発症した.画像上,左側頭後頭部急性硬膜下血腫及び右後頭部皮下血腫を認めた.左血腫除去と減圧術が行われたが,意識障害は増悪した.頭皮上脳波検査(時定数2秒)にて,右半球後方に緩徐な巨大陰性電位を認め,皮質拡散脱分極(cortical spreading depolarizations; CSD)波形と判断した.意識障害は手術1ヵ月後も遷延した.硬膜下血腫側でなく打撲側にCSD波形を認め,同部位の外傷性障害と二次的虚血の遷延,それによる意識障害が疑われた.頭皮上脳波でのCSD検出は,急性期画像異常と共に非侵襲的に病態把握と転帰判定を行える可能性を示唆し...

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Published in臨床神経学 Vol. 60; no. 7; pp. 473 - 478
Main Authors 梶川, 駿介, 舟木, 健史, 人見, 健文, 漆谷, 真, 池田, 昭夫, 髙橋, 良輔, 塚本, 剛士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2020
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.60.cn-001421

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Summary:症例は82歳女性.頭部外傷後6日目に意識障害を発症した.画像上,左側頭後頭部急性硬膜下血腫及び右後頭部皮下血腫を認めた.左血腫除去と減圧術が行われたが,意識障害は増悪した.頭皮上脳波検査(時定数2秒)にて,右半球後方に緩徐な巨大陰性電位を認め,皮質拡散脱分極(cortical spreading depolarizations; CSD)波形と判断した.意識障害は手術1ヵ月後も遷延した.硬膜下血腫側でなく打撲側にCSD波形を認め,同部位の外傷性障害と二次的虚血の遷延,それによる意識障害が疑われた.頭皮上脳波でのCSD検出は,急性期画像異常と共に非侵襲的に病態把握と転帰判定を行える可能性を示唆した.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.60.cn-001421